第27章 小さな太陽と大きな背中
~日向side~
アレ?
今のって、城戸さんだった?よね。
オレのクラスの前を、ゆっくり通過してった。
「ね、どこ行くの?」
『日向君・・・ビックリしたなぁ』
後ろからポンッと肩を叩いて声をかけたら、ちょっと驚いた顔して城戸さんが振り返った。
「そんで、どこ行くの?」
『・・・ちょっと、3年の階まで・・・かな?』
3年の?
「キャプテンとか、スガさんとかに用事?あ、マネージャーになったから、清水先輩とか?」
『ん~・・・違う、かな。まだ会えてない・・・エース、に会いに』
エース?!
「お、オレも行っていい?!」
昨日、影山と行った時ちゃんと話出来なかったし!
エースには部活来て欲しいし!
オレの憧れでもあるし!
「ね!ダメ?!」
『えっと、じゃあ・・・行く?』
「行く!!オレも行く!!着いてく!!」
またあの人に会える!
そんで、部活に来てくれるように頼む!
だって・・・
烏野のエースだからな!
「そうと決まれば・・・城戸さん!」
『な、なに?!』
まだ足が治ってないなら、まぁ。
「オレがおんぶして階段降りよう!」
『イヤです。絶対イヤ』
「なんで?」
影山なんか、しょっちゅう城戸さんを小脇に抱えたり、お姫様抱っこ?とかしてんのに。
あ、そっか!!
「城戸さん、おんぶじゃなくて影山みたいに抱えたりとかの方がいい?」
影山が出来るんだから、オレにも出来るはずだ!
城戸さんは小柄だし!オレは男だからな。
『・・・自分で降りれるから、いい』
「遠慮なんかしなくていいのに。足、ケガしてんだからさ?」
オレがなにか言っても、城戸さんは意地になって余計に1人で降りていく。
見てると見てるほど、危なっかしいんだよな。
「なぁ、危ないからさ?これなら、どう?」
おんぶとか抱っことかがイヤなら、方法は他にもあるじゃん?
そう言いながらオレは城戸さんに手を差し出した。
「松葉杖はオレが持つ。で、城戸さんは松葉杖の代わりに、オレの手に捕まれば危なくないじゃん?・・・ね?」
返事を待ってたら断られそうだったから、先に松葉杖を受け取った。
『あ・・・日向君・・・?』
「はい、じゃコッチの手に捕まってね」
なかなか手を伸ばしてこない城戸さんの手をを、オレの方から握る。
うん、これなら安心だ。