第27章 小さな太陽と大きな背中
桜「慧太、掃除もしたしシャンプーも詰め替えしといたよ。浴室乾燥もかけてるから・・・あ、紡・・・」
慧太にぃが、さり気なく用意している物を隠すように立ち、そのせいで私が桜太にぃから丸見えになる。
『桜太にぃ、下・・・履いたら?風邪ひくから』
桜「えっ?!あっ!!いや、紡がいると思ってなかったから・・・ちょっと待ってて!」
桜太にぃにしては珍しく音を立ててドアを閉め、自室に向かっていった。
慧「よっぽど弱ってんな、アイツ」
『・・・私がいると思わなかったって、言ってたけど?』
慧「アイツはお前がいなくても、あんなパンイチにシャツだけっつうオレみたいな格好はしねぇよ」
・・・そう言われると、そうだよね。
ラフな服装はしていても、あんな格好はほとんど見たことない。
っていうより、初めて見た。
罪悪感を感じながら、夕飯温め直してテーブルに配膳していると、ラフでありながらもちゃんと服を来た桜太にぃが戻って来た。
慧「桜太、とりあえず座れ」
キッチンへと入って来ないように、慧太にぃがテーブルへと誘い桜太にぃはいつもの場所に座る。
コーヒーも落としたし、飾り付けも出来た。
謝るなら、今がチャンス。
『桜太にぃ、さっき嫌いって言ったのは違うから。お詫びにコレ・・・』
前に作った物と同じ、コーヒーにハートで型抜いた小さいマシュマロをたくさん浮かべた物をそっと横に置いた。
桜「紡、食事はちゃんと、」
慧「桜太」
何かを言いかけた桜太にぃを、慧太にぃが止めて首を小さく振る。
『・・・おやす、あ!忘れてた』
テーブルの上のケチャップを手に取り、桜太にぃのオムライスにハートを書いてあげる。
慧「オレのはいいよ。今日は桜太に譲ってやる」
そういう慧太にぃのスプーンにケチャップを溢れんばかりに乗せてあげる。
慧「おいコラ、なんの嫌がらせだよ・・・」
『じゃ、おやすみなさい』
ピクリと眉を寄せる慧太にぃを無視して、私はリビングを後にした。
慧太にぃのせいでお腹空いて来ちゃったよ・・・
でも、絶対に体重落とすんだから!
小さな誓いを確認し、私は部屋へと戻った。