第27章 小さな太陽と大きな背中
『ね、元気でしょ!』
桜「お腹、痛いとかは?」
『どこも痛くないし、なんともないよ?まあ、足は・・・あれだけど』
だったらいいけど・・・と零しながら、ついでだから足を見せろって言われて、おずおずと湿布貼るのをサボった足を出した。
桜「紡・・・?寝るときは固定外していいって行ったけど、湿布は貼らなきゃダメだろ?」
『ちょっと、いろいろ慌ててたから忘れちゃって・・・』
桜「慌ててた?」
『あ、うん大丈夫。私の都合だから』
まったく・・・と言って、桜太にぃは救急箱から湿布やらテーピングを取り出し、手際よく処置をしてくれる。
『お医者さんみたい・・・』
桜「もしもし?一応、本物だけどね」
『ですよね』
私のくだらない話を聞きながらも、テキパキとあっという間に作業を終わらせてしまった。
桜「はい、終わり。で、夕飯はどうして食べなかった?」
『あ、それは・・・ダイ、・・・』
桜「ん?」
『大丈夫!って事!久々に学校行ったら何か疲れちゃって・・・体力落ちたのかなぁ?部活は見てただけな状態なのにヘトヘトだし?』
桜「・・・それだけ?」
『それだけ、だよ?何か直接体育館行けて、生の現場見て頭も胸もいっぱいで・・・』
あ、危なかった。
危うく誘導される所だった・・・
桜「なんか様子が変なんだけど?怪しいっていうか・・・」
まだ疑惑浮上中?!
『何にも変じゃないし、どこも怪しくなんてないよ!・・・あと、明日からお弁当いらないから。朝ごはんはヨーグルト食べるから朝もいらない』
桜「お弁当いらない・・・って、どうして?」
『いらないものはいらないの!購買で買ったりするから、しばらくはいらないから大丈夫』
桜「お昼はともかく、朝はしっかりと食べなきゃ」
『いいの!それにヨーグルトは食べるんだから!用事が終わったなら早く部屋から出てって!私もう寝るんだから!』
ベッドから降りて、足を引き摺りながらも桜太にぃの背中を押してドアの前へと移動する。
桜「つ、紡?ホントに朝はしっかりと、」
『しつこい桜太にぃは嫌い!』
背中を押し切り、ドアと一緒に鍵も閉めた。
桜「ちょっと?!紡?!開けなさい!」
『おやすみなさい!』
大きくそう言ってベッドに潜る。
しばらくすると、桜太にぃは諦めたのか階段を降りていく気配を感じた。