第27章 小さな太陽と大きな背中
ベッドに寝転がり、帰りながら澤村先輩から聞いた話を思い出す。
烏野のエーススパイカー。
東峰 旭さん、かぁ。
実際に会ってないから、どんな人なのかは分からないけど。
澤村先輩の話によれば、見かけによらずガラスハートだ、とか言って笑ってた。
部活に来なくなった理由は、詳しくは教えて貰えなかったけど、乗り越えられる壁なのに、足踏みをして目を背けてるだけだ・・・とだけ話してくれた。
・・・私と、似てるかもな?とかも言ってた。
私と・・・似てる?
小柄、とかだったら、多分、私じゃなくて西谷先輩に・・・とか言うよね?
ガラスハート・・・は、私は違うしなぁ。
消去法で行くと・・・残るは、乗り越えられる壁・・・とかになるけど。
う~ん・・・分からない。
会ってみたら・・・いろいろと分かるのかな。
だったら明日、直接会いに行ってみるしかないよね?
・・・1人で?
せめて影山・・・は絶対ムリ!
階段昇り降りするんだから、影山はムリ!
また今日みたいに抱えられたりとかして、重いとか言われたら・・・もう、学校行けない!
ダイエット成功して、どうだ!参ったか!ってなるまでは、絶対に担がれたり抱えられたりとか拒否!
断固拒否!!
1人で・・・行こう。
そうと決まれば、後は寝るだけ・・・っと。
早く寝ないと、お腹空いたの気になって寝れなくなっちゃうから。
桜「紡、起きてる?」
布団に潜りこむのと同時に、ドアがノックされ、桜太が呼び掛けて来た。
・・・なぜ、このタイミングで。
も、もしかして、もうバレた?!
桜「紡?」
『あ、お、おき、起きてるよ!』
私が返事をすると、ドアが開けられ桜太にぃが部屋に入って来た。
『あ、えっと。桜太にぃ、おかえりなさい』
桜「ただいま。紡、あのさ?」
き、来たっ・・・椅子をベッドサイドに寄せて座る・・・この感じ・・・
絶対バレた・・・
絶対怒られる・・・
桜「どこか、具合いでも・・・悪い?」
『へっ?』
具合い、悪い?って、言った?
桜「慧太から、紡が夕飯食べてないみたいだって聞いたから」
慧太にぃのヒゲめ・・・余計な事を・・・
『だ、大丈夫!元気だから!』
桜「はい、とりあえず検温」
有無を言わせずに体温計を突き出され、黙って従う。
だけど、当然、熱なんてない訳で。