第27章 小さな太陽と大きな背中
~ 桜太side ~
はぁ・・・やっと家に着いた。
今日は外来担当だったから、1日ずっと忙しかった。
そして午後からは乳児健診も、だったし。
更に言えば乳児健診のパートナーは、あの立花先生だ・・・
勿論、立花先生の事は医師としても研究者としても、尊敬する人の1人・・・ではあるけど。
何とかならないのかな、あの性格と行動・・・
若いママさんを見つける度に、俺を売り込みするし。
ー この城戸先生はまだ独身なんですよ!誰かいませんかね、イイ人! ー
そればっかり。
それを聞いた外来のベテランナースには、私があともう少し若ければねぇ・・・と笑いながら肩を叩かれ。
そもそも母さんと同じ位の歳なんだから、あともう少し・・・じゃ、随分と年上の奥さんじゃないか。
だいたい、立花先生も独身でしょうが!!ってツッコミたくなる。
紡にさえ、お嫁さん候補どう?なんて声をかけるくらいなんだから。
・・・・・・立花先生のお嫁さんなんて、他の誰が許しても、俺が許さないけどね。
ダメ、絶対!・・・なんて、どこかで聞いたような標語が浮かぶ。
俺も慧太みたいに心に軸を置いてた方がいいのかな。
妹と結婚したかったら、俺を倒してからにしろ!ってやつ。
・・・・・・・・・。
俺のキャラじゃないな。
あれは慧太だから笑って許されるヤツだな。
そして・・・こんな想像をするなんて。
俺は今日・・・相当な精神的疲労を抱えてる。
こういう時は、紡に癒されよう。
うん、それが1番いい回復方法だ。
そう思いながら、リビングのドアを開ける。
「ただいま。あれ?紡は?」
慧「おぅ、おかえり」
桜太にぃ、おかえりなさい!って言うのを・・・ちょっと、いや結構・・・期待したんだけど。
リビングにいたのは、明らかに風呂上がりの・・・半裸の慧太、のみ。
「慧太、毎回言うけど・・・パンツ1枚はやめろ。うちには年頃の紡がいるんだから・・・」
慧「あ~ハイハイ。すみませんねぇ」
この態度。
絶対、反省してないっていうか。
「で、紡は?」
キッチンに視線を向けても姿が見えない紡の事を、もう1度慧太に聞く。
慧「寝たんじゃね?オレが帰った時には既に・・・ほれ、そんな感じだったし」
テーブルの上を指しながら、慧太がガシガシと頭を拭いている。