第27章 小さな太陽と大きな背中
『ただいま~』
玄関に松葉杖を立て掛け、リビングへと向かう。
・・・まだ、誰もいない、か。
そう言えば桜太にぃは準夜だし、慧太にぃも今日はまだ帰ってくる時間じゃない。
って、事は?
ダイエット作戦を決行するなら・・・今夜からがチャンスかも?!
自分なりに急いで部屋へ行き、お風呂の支度をして脱衣所へと急ぐ。
体重計に乗るために、ムダに重くなる服は脱ぎ捨て、下着姿で気合を入れて足を乗せた。
・・・・・・う、うそ?!
表示された数字に納得がいかず、置き場所を少しずらして再度また乗ってみる。
・・・・・・・・・。
片足立ちになったり、しゃがんでみたりして悪あがきしても、最初に表示された数字と寸分の狂いもなく・・・同じだった。
頭の片隅で、チーンと本日何度目かの鐘が鳴り響いた。
・・・悪夢だ。
入院前より、3キロも増えてる。
絶対・・・絶対ダイエットしなきゃ!!
固く決意をして、シャワーを浴びた。
幸い?にも、今日の夕飯当番は私。
だったら2人の分だけ作って、寝ちゃおう。
どっちかが帰って来ちゃったら、いろいろ追求されそうだし。
髪をタオルで巻いたままキッチンへ入る。
ご飯は炊けてるから・・・すぐ作れて、温め直しても食べられるもの・・・
手早く準備をして、2人分のオムライスとスープ、サラダを作り、デザート用のフルーツも切り分けて冷蔵庫に入れた。
これでよし!
私は野菜ジュースを飲んで、髪乾かして部屋に行こう。
誰もいないのをいい事に、野菜ジュースを飲みながらキッチンを片付ける。
次は、髪を乾かして・・・
脱いだエプロンを片付け、あらかじめ持って来たドライヤーを髪にあてる。
しっかりと乾かさないと慧太にぃがうるさいからなぁ。
手櫛で梳かしながら中まで乾かして、最後に冷風をかける。
よし終わった!
ここまでの作業の間、2人とも帰って来なかったのは都合が良かったけど・・・
静かなリビングは、やっぱり少し寂しいかも。
粗熱の取れたオムライスにラップをかけながら、小さく息を吐いた。
逃げよう・・・じゃなかった!
部屋、行こう。
少し、ゆっくり考えたいこともあるし。
私は戸締まりだけはしっかりと確認して、部屋へ向かった。