第27章 小さな太陽と大きな背中
学校にも来れて、晴れて男バレ部のマネージャーとなった私は・・・
現状、特に何も出来るわけでもなく。
ボール出しも出来ず。
ドリンク配りさえ出来ず。
ただ、澤村先輩に言いつけられた用事と言えば・・・
記録付け。
みんな気を使ってくれているのか、通りすがりや休憩時間には何かしら声をかけてはくれるんだけど・・・
『これじゃ病院の退屈と変わらない・・・』
大きなため息と、小さな愚痴が零れた。
澤「ははっ・・・そう言われてもなぁ。俺も桜太さんから念押されちゃってるから・・・」
隣で清水先輩と打ち合わせをしていた澤村先輩が私に向き直した。
『桜太にぃから・・・何を?』
いつの間に桜太にぃは澤村先輩に連絡なんてしたんだろう。
澤「さっき部室で着替えてる時・・・かな。今日からまたお世話になりますって。で、紡の事だから絶対ムチャするだろうから、しっかり見張り番を宜しくって」
『・・・・・・・・・』
桜太にぃに、先回りされた。
でも?
『ちょっとくらい・・・』
澤「ダメ」
『トス上げるだけ・・・』
澤「ダメ」
『ボール出し位なら・・・』
澤「ダメ」
『うぅ~・・・』
澤「唸ってもダメ」
笑顔を崩さずダメとばかり繰り返す澤村先輩に、チロリと上目遣いで睨む。
澤「そんな顔してもダメなものはダメだ」
『大地さんなんか・・・嫌い・・・』
澤「えぇっ?!・・・そう来たか・・・」
せっかく早く退院出来たのに。
確かに少し痛いのは痛いけど・・・体、動かしたい!
それに・・・
影 ー お前、体重増えた? ー
さっきの影山の言葉が頭をチラつく。
病院にいる間・・・ご飯の時間とオヤツの時間だけが楽しみだったからなぁ。
談話室で小さなお友達とテレビ見ながらお菓子食べたり。
慧太にぃが来た時にお菓子食べたり。
何気に病院のご飯・・・美味しかったし・・・?
・・・。
食べてばっかりじゃん!!
いや、でも、そんなに食べ続けていたワケでも・・・?
菅「大地、この後なんだけどさ・・・って、紡ちゃん?ほっぺ押さえてどうしたの?」
『スガさん・・・』
ふっくらしたかも知れない頬を押さえながら顔をあげる。
『スガさんから見て、私って体重増えたように見えますか?』
菅原先輩なら、多少ならそうでもなくね?とか言ってくれるはず・・・