第27章 小さな太陽と大きな背中
山「見、見たいわけじゃ!あ、いや、そうでも・・・ない・・・?じゃなくて!!みみ、見ないからね!違うからね城戸さん!!」
『わ、わかった!わかったから山口君』
焦りながらも山口は、ポチの両肩を掴んでグイッと近付いて言い訳をする。
全く山口め・・・安全圏に居そうで意外と危険な・・・
「山口、近過ぎ」
山「ごめんツッキー・・・って、あれ?オレなんでツッキーに謝ってんだ?」
跳ねた髪をぴょんぴょん揺らしながら、山口は首を傾げてるけど。
考えるべきトコは、そこじゃないから。
山口は・・・いちいちポチに近い。
澤「ま、今日はもういいとして。明日からは誰かに必ずいて貰うことにしなさいな?じゃないと、スガが騒ぐ」
『はい・・・ごめんなさい』
菅「大地!オレだけディスるなよ・・・」
はぁ・・・何か練習前から疲れた。
特に何も言わず、その場から離れようとして。
ひとつ思いついてポチを振り返った。
「あぁそうだ、ポチ」
『あ、なに?月島君』
「僕が見張り番の時は、是非とも色気のあるヤツで」
見せる表情を変えずに、ひと言だけポチに言葉を投げる。
『なっ?!・・・何言ってるの月島君!!』
顔を真っ赤にしながら叫ぶポチは、ホント、からかいがいがある。
菅「色気のあるヤツ?なんの事だ?」
『スガさんも掘り返さないで下さい!!』
事情を知らない菅原さんの隣で、さっきしっかりと見た山口は赤くなる顔を逸らす。
『山口君も赤くなるのやめて!』
山「いや、だって・・・さっきブルーのが・・・」
『やめてってば!!』
蒸し暑い体育館に、ポチの悲痛な叫びが響いていた。