第27章 小さな太陽と大きな背中
体育館前まで来て、そう言えば・・・と思い付く。
女子更衣室、2階・・・だった。
それに、部室棟の外階段は手すりもない。
・・・私、どこで着替えよう。
とりあえず影山達とはそこで別れ、まだ誰も来ていない体育館を覗く。
もしかして、今のうちだったら・・・
安易にそう考え松葉杖を入口に立て掛けると、微妙な歩きで中へと入り、体育館扉を閉めた。
サッと着替えてしまえば、誰かが来ても大丈夫。
リュックから着替えを出し、いざ!とシャツを手に取る。
ー どうせなら、もっと色気のあるヤツに・・・ ー
さっきの月島君の言葉が頭をよぎり、シャツを離してゲームパンツを掴み直す。
・・・先に、コッチ履いとこう。
モソモソと足を通し、何とか立ち上がる。
これでスカートはいつでも脱げるから、シャツ着ちゃお。
制服のブラウスのボタンを外し、片腕を脱いだ。
菅「あれ?さっき大地が開けたのに扉が閉まってる。それに松葉杖置いてあるケド・・・大地、紡ちゃん来てるんじゃない?」
澤「ホントだ。影山達はまだ着替えてたから、先にここで待ってたのかな。とりあえず中入るか」
・・・う、ウソ?!
ちょ、ちょっと待って!
脱いだばかりの片腕をまた通そうにも、気持ちが焦っているせいで上手く通せない。
このままじゃ私、ただの変態扱い・・・?!
どど、どうしよう!
私の焦りを他所に、ガラガラと大きな音を立てながら・・・
体育館扉が、開けられた・・・
菅「うわっ!・・・あっついなぁ・・・大地、少ししてからじゃないと中には入れないよ」
澤「そっか?じゃ、アイツらが来るまでここで待ってる事にするか」
そ、そうしてくれると・・・非常に助かります・・・
菅「だね。あ、でもさ?」
澤「ん?」
菅「紡ちゃん、どこにいるんだろう」
あ、いや、ここにいます・・・けど。
澤「それもそうだよな?松葉杖、ここにあるし・・・俺ちょっと中を見てくるよ。熱くて動けなくなってたら困るだろ?」
澤村先輩、そのお気遣いは無用です・・・
まぁ、ある意味、動けないのは確かですけど・・・
菅「だよね!心配だからオレも一緒に入るよ。何かあった時に1人より2人の方がいいだろ?」
澤「あぁ、それもそうだな」
お、お願いします。
ほんとにコッチ来ないで・・・