第27章 小さな太陽と大きな背中
~影山side~
授業が終わって、これから部活に行く・・・けど。
城戸は・・・どうなんだ?
学校自体は今日から来てってけど、部活は・・・
澤村さんと約束していた期限は、とっくに過ぎてる。
声を、かけてみるべきか。
・・・それとも、黙って教室を出て行った方がいいのか。
そんな事ばかりを考えながら、俺は城戸から目が離せなかった。
『あれ?影山、部活行かないの?』
俺の視線に気が付いたのか、城戸が顔をあげた。
「行かないわけねぇだろ、ボゲェ。今行くところだアホが」
『うわ、なんか不機嫌?』
「は?」
何で俺が不機嫌に見えんだよ。
俺は至って普通だ・・・と、思う。
『部活行くなら、一緒に行こう?』
「おぅ・・・え?お前・・・」
いま、一緒に行こうって、行ったよな?
『だから、一緒に行こうって言ってんの。嫌だったら別にいいけどさ?』
よいしょ、とか言いながら椅子から立ち上がり、近くに立て掛けてある松葉杖に手を伸ばす。
「・・・決めたのか?」
それだけ言うと、城戸は俺を見た。
『影山、これからも・・・よろしくね?』
城戸は笑顔でそう答える。
その笑顔が、なんだかすげぇ・・・キラキラしているように感じて。
俺は胸の奥が暖かくなるのを感じながら、瞬きもせず、その笑顔を見ていた。
『影山?』
「行くぞ。日向に先越されたら腹立つ」
またそれ?と城戸が笑う。
早くしろと言いながら、城戸の進む速さに合わせて俺達は教室を出た。
月「ポチ・・・」
チッ・・・出会い頭に月島かよ。
山「城戸さん!・・・もしかして、これから部活・・・行く?」
『うん!もちろん行くよ。月島君も山口君も、よろしくね!』
さっきの笑顔で城戸が言葉を交わす。
・・・なんかムカつく。
コイツらにまでニコニコ笑顔、振り撒くなよ。
『あっ・・・と、階段か。敵は手強いな・・・』
使っていた松葉杖を片方に寄せ、城戸は手すりに捕まり1段ずつ降りる。
それでも、その1段を降りる姿が危なっかしいと思って・・・
「山口、お前これ持ってろ」
『あ、ちょっと!影山!』
城戸の手から松葉杖を奪うようにとり、そのまま山口に突き出した。
山「え?オレ?別にいいけど・・・そしたら城戸さんは?コレないと階段危なくない?」
「あっても危ねぇから・・・」