第27章 小さな太陽と大きな背中
いつもの隠れポイントに着いて、澤村先輩と2人で腰を下ろす。
澤「いつもこんな所で食べてたんだ?」
『はい、あまり人も来ないし。直射日光避けられるし。入学した頃は人と関わりたくないなって思って、ここで1人で食べてました』
あの頃は、ホントにそうだったよなぁ。
で、影山が増えたり、菅原先輩が増えたりして。
澤「1人で食べてたって・・・いわゆる、えっと・・・おひとり様?ってヤツか?」
『ま、そんなトコです。月島君風に言えば、ぼっち、って感じです。はい、お弁当どうぞ?』
澤「ありがとう。うわぁ、なんか凄い嬉しいよ!」
まだフタを開けてもいないのに喜んでくれる澤村先輩を見て、何だかカワイイな・・・なんて思ったのは、秘密にしておこうと思った。
『お口に合うか分かりませんけど、どうぞ?』
お箸とおしぼりを渡し、自分もお弁当のフタを開いた。
澤「なんか・・・感動・・・」
お弁当を見つめて呟く澤村先輩に、見つめてないで食べて下さいと勧める。
澤「これ、全部1人で作ったの?朝とか早く起きたんじゃないの?・・・写メ、撮ってもいいかな?」
『特別早起きはしてませんよ?今日は朝練とか出てないし、その分ゆっくり出来ましたから。それから、写メ撮ってどうするんですか?』
澤「・・・初めて女の子にお弁当貰った記念に?とか」
『え?初めて?』
澤「えっ?」
何となく箸を止め、澤村先輩の顔を見てしまった。
『私の・・・勝手なイメージですけど。大地さんって、なんか凄い、隠れモテキャラ・・・かな?とか思ってました』
澤「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えぇっ?!」
『驚き過ぎですよ・・・』
マグボトルのミルクティーを1口流し込み、ふぅ・・・と息を付く。
澤「な、何でそう思う?!俺、全ッ然そういうのないけど!・・・あ、なんか、自分で言ってて悲しいけどね」
『何で?って、言われても、難しいですけど・・・優しいとか、暖かいとか・・・自分にも他人にもキチンとしている所とか。とにかく、包容力満載な感じが・・・そうなのかな?って』
褒めすぎだろ・・・と、横を向きながら澤村先輩は呟いた。
『だから、お弁当や実習の差し入れとか、いつもたくさん貰ってるのかなって』
澤「貰うことはたまにあるけど・・・ほら、前に話した女バレの道宮とかさ。でもお弁当はないよ」
