第27章 小さな太陽と大きな背中
スガの声がどこから聞こえたのか分からずにキョロキョロと周りを見回している姿が、まるで迷子になった小さな子供のようで・・・可愛らしいなぁと思ってしまう。
「スガなら、あそこにいるよ?俺達の教室のところ」
軽く指差して教えると、逆光に目を細めて校舎を見あげた。
『スガさん、こんにちはー!』
慣れない松葉杖に体を預け、スガに向けて大きく手を振っている。
『あっ・・・』
「おっと!」
片足立ちでバランスを崩した紡を抱きとめ、真っ直ぐに立たせてあげる。
『ビックリした・・・』
「ビックリしたのは俺の方だって。これ以上ケガなんてしたら、俺が桜太さんに怒られるだろ?」
『桜太にぃに?・・・それは・・・危険ですね・・・』
おいおい、桜太さんはどれだけ怒らせたら怖い人なんだ?
菅「紡ちゃん!大地とどこ行くの?!」
『これから大地さんと一緒にお弁当食べるんです!』
えっ、それスガに言っちゃう?!
俺は凄く追求されそうだから、黙ってたのに?!
・・・教室戻ったら、凄い追求を受けそうだ。
スガだけじゃなく、あと窓に集まってるヤツらにも。
そういや、一瞬だけど道宮の姿があったような?
もう1度見てみると、そこには道宮の姿はなかった。
・・・気のせいか。
「そっか!弁当と一緒に大地に齧られるなよー?」
なっ!
齧られるって何だよ?!
「スガじゃあるまいし!」
思わずそう叫んで返して、その言葉に笑い出す紡と顔を合わせて、また笑った。
『スガさんは、私を齧ろうとしてるんですか?
』
「そうそう、気をつけないとダメだよ?男はみんなオオカミなんだからね?」
『大地さんも、ですか?』
しまった・・・男の括りにしたら俺も入っちゃうじゃないか!
スガは・・・にしとけばよかった。
「俺は・・・平気だよ。うん、そう!オオカミにはならないから」
正確には、なりきれない・・・だけど。
『じゃ、大地さんは安心なんですね~』
それはそれで、なんか悲しいのはナゼ・・・
紡はもう1度スガに手を振り、行きましょ?と、言って俺を促した。