第26章 交差する想い
もう1度、頭の片隅でチーンと哀愁漂う金の音が鳴り響いた。
俺・・・バレーしかして来なかったからな・・・
『もしかして・・・ご迷惑でしょうか』
黙り込んでいろいろと考えていたせいか、少ししょんぼりとした声で紡が言った。
「まさか!むしろ大歓迎だよ!今からめちゃくちゃ楽しみだ、し・・・って、あ、あれ?何言ってんだ俺は・・・」
あまりの俺の慌てぶりに、クスクスと紡が笑い出した。
『ご迷惑じゃないなら、是非』
「もちろんだよ、ありがとう」
それじゃ、とお互いに交わして通話を切った。
ヤバイな・・・
いま俺、絶対・・・ニヤけてる!
・・・と、思う。
これは、気合いを入れないといけないな。
スマホをしまい、両手で思い切り頬を叩く。
側にいた清水に怪訝な顔をされたけど、そこは敢えて気にしない。
今日これほどまでに、月曜日が夜勤明けの母さんに感謝したことはないだろう。
・・・イカンイカン。
またニヤついてしまいそうだ。
もう1度頬に気合を入れ、俺は練習の輪に加わった。