第26章 交差する想い
「そんな笑顔を振りまきながら近寄るのやめて下さい!スガさん、冷静によく考えください?俺は男ですよ?!そこにハグとか、ないでしょ?!」
平気~、そんなの気にしないからと、更に間を詰めてくる。
俺も更に後ろへ下がるも・・・壁に突き当たってしまった。
菅「は~い、捕まえた!」
「うわぁ?!」
こ、これは女子がされたらときめく・・・いわゆる、壁ドン?
壁ドンって、こんなにも至近距離なんだ・・・
じゃあなくて!!
菅「いくよ、縁下・・・オレの気持ちを受け取ってくれ・・・」
「大地さん!笑ってないで助けて下さいよ!!!」
・・・悲痛の叫びも虚しく・・・爽やかに笑顔を見せるスガさんに、俺はギューッと抱きしめられた・・・
清「おはよう。澤村ごめん、遅くなっ・・・」
髪をかきあげながら体育館に足を踏み入れる清水先輩と目が合ってしまう。
「あ、おは、おはよう・・・ございます・・・」
清「縁下・・・そういう趣味?一応言っとくけど。菅原はやめた方がいい」
・・・違いますよ、清水先輩。
よく見て下さい、俺が襲われてるんですよ。
うんざりしている俺と、怪訝そうな顔で俺達を見る清水先輩を見て大地さんが腰を折って笑い出した。
その後は大地さんが事の成り行きを説明してくれて、清水先輩が哀れんだ目で俺を見たけど。
それからの朝練の俺はボロボロの状態だった。
それでも何とか気を持ち直し、午後の授業が終わると病院に向かった。
で、じいちゃんの所へ顔出せば・・・
「ギックリ腰?!」
呆れ顔で俺が言うと、じいちゃんもギックリ腰はなってみないとわかんねぇ痛さだぞ?とか言って拗ねるし。
それを見ていた、ばあちゃんも母さんも苦笑いで、俺に伝えるの忘れてたとか言うし。
母「ごめんね、力。お母さんもここに来てからギックリ腰ってわかった時に連絡するの忘れてて」
「別にいいよ、他にも用事あるし。じいちゃん、腰以外は元気みたいだから俺はそっちに行くよ」
少しだけ、じいちゃんと会話をしてから城戸さんの所へ行こうと椅子から立ち上がった。
母「力?誰かここに知り合いでも入院してるの?」
「そう、部の手伝いしてくれてる人なんだけど、こないだの練習試合でいろいろあってね」
母「・・・女の子でしょ?」
「そうだけど?」
俺の言葉に、母さんが急にニヤニヤする。