第26章 交差する想い
慌てて体を離す縁下先輩が可笑しくて、つい、笑ってしまう。
『菅原先輩には、なんて報告するんですか?』
縁「・・・ちゃんと任務は完了しました・・・かな」
そんな報告をしたら、菅原先輩に温もりをわけろーとか言われて・・・またハグされそうな気も・・・
その姿を想像して、少し気の毒な気も・・・
『が、頑張って下さい、報告』
縁「えっ?急になに?!」
『菅原先輩になんかされそうになったら・・・逃げて下さい!』
縁「あ、あぁうん!よく分からないけど、そうするよ!・・・城戸さん、戻って来る・・・?よね?」
縁下先輩が最後にポツリと言った言葉に、曖昧に笑みを返した。
『縁下先輩。おじい様、どうかお大事になさって下さい』
返事の代わりに、縁下先輩がニコリとした。
縁「じゃ、俺は学校に戻るよ」
『はい。縁下先輩、行ってらっしゃい』
縁「行ってらっしゃい、か。じゃ、行ってくる」
その背中に軽く手を振り、ドアが閉まるのを見て。
私は早く学校に行けるようになりたい、と。
小さくため息をついた。