第26章 交差する想い
縁「ほんと、人騒がせだよ」
ふぅ・・・とため息を吐いて、縁下先輩は笑った。
『あ、でも!私だって似たような感じなので・・・』
そう言って足を指差して笑うと、縁下先輩は城戸さんは頭を打ってたから祖父とは違うだろ?ってまた笑った。
『そう言えば縁下先輩?部活はお休みしたんですか?』
縁「ん?これから行くよ?大地さんに事情を説明して、城戸さんの所も寄ってくるって言ったら了承貰ってるしね」
『じゃあ、早く学校戻った方が・・・』
いくら承認されてるとは言っても、あまり遅くなると・・・
そう思って縁下先輩に言ってみたけど。
縁「大丈夫だよ。大地さんに退屈してるだろうから、少し話し相手もして来てって言われてるし。それに・・・案の定、退屈してたみたいだし?」
さっきの叫びを思い出したのか、縁下先輩は堪えきれずに笑い出した。
『あの・・・さっきのは忘れて貰えると・・・退屈過ぎて心の叫びが出ただけですから』
縁「でも、退屈してたのは本当だろ?」
『はい・・・まぁ・・・武田先生から届けられた課題も終わってしまって』
縁「課題?」
『はい。病気入院ではないので預かってきましたよって武田先生から渡されたんです』
私が言うと、縁下先輩はベッドテーブルの上に積まれた課題に目線を移した。
縁「もし良かったら間違い探し、してあげるよ?」
『本当ですか?!それは嬉しいです。私ちょっとだけ、数学苦手な所あるので』
縁「いいよ、分からないところがあるなら教えてあげられるかもだからね」
縁下先輩の嬉しい申し出に甘えて、数学の課題を開いて見せた。
『ここ、なんですけど。授業ではまだやってなかった所なので、どうかな?って』
私から課題を受け取ると、縁下先輩はどれどれなんて言いながら目で追っていく。
私は少し緊張しながらも、真剣な眼差しで問題を見てくれている縁下先輩の顔をずっと見ていた。
縁「・・・あの、さ?」
『はい?』
縁「そんなに見つめられると、俺が照れるっていうか・・・」
あはは、と笑って、縁下先輩が課題を指差した。
縁「ここ、答えはあってるんだけどね?途中の数式が違うよ?」
『えっ?!あれ?この公式でいいかな?って思ったんですけど・・・』
指差された問題を覗き、う~ん・・・と首を傾げた。
そんな私を見て、フッと笑われる。