第26章 交差する想い
朝から退屈しのぎに課題をやり続け、テレビのある部屋に顔を出さない私を訪ねて、小さなお友達も遊びに来た。
それでもお昼を過ぎれば、それぞれ点滴をしなければいけない子供や、食後の投薬で眠くなってしまう子供たちがいて、ひとときの楽しい時間も終わりを告げた。
今日で、3日目かぁ・・・
初日こそ、いろいろな人がしてくれたけど・・・
それ以降は桜太にぃや慧太にぃ以外は、パッタリと誰も来ない。
電話やLINEはくれたりするけど。
でも、やっぱり人気の無い所にずっといるっていうのは寂しい気がする。
課題もやり終わっちゃったしなぁ。
今は1人でも少しの痛みさえ我慢すれば歩く事は出来る。
けど・・・この部屋はナースセンターから見える所にあるから、コッソリ脱走しようとしても見つかってしまう。
・・・経験済みだし。
昨日それをしたら、ちょうどナースセンターにいた桜太にぃに見つかってしまい・・・足早に歩いて来た桜太にぃに小脇に抱えられてベッドに戻された。
そして、短時間ながらも・・・お説教タイム到来。
そんな桜太にぃも、今日は休みだから・・・のんびりしてて欲しいし。
手元にあるスマホで時間を見ると、これから部活が始まるだろう時間を表示させていた。
『あぁもう!退屈過ぎる!!』
自分しかいないのをいい事に、少し叫んでみる。
ー プッ・・・ククククッ・・・ ー
突然聞こえた笑い声に驚き、私は身構えた。
『だ、だれ?!』
私が声をかけると、その笑い声の主はコホンとひとつ咳払いをして、ゆっくりとドアを、開けた。
ー こんにちは、元気な患者さん? ー
『縁下先輩?!・・・どうしたんですか?!えっ?あれっ?!部活は?!』
驚きながら何度も時間と縁下先輩を見る私を見て、縁下先輩はドアを閉めながら更に笑った。
縁「実はね?明け方に祖父が入院したって連絡が来て、それでうちの親が学校終わったら1度顔出せって言うから病院聞いたら・・・城戸さんのいる病院だったし、それならって思って」
『そうだったんですか・・・あ!それで、おじい様は大丈夫ですか?!』
縁「・・・・・・それがさぁ・・・」
急に歯切れの悪くなる縁下先輩に、おじい様の容態があまり良くないのかと思えた。
縁「ギックリ腰、だって・・・」
『え?ギックリ腰、ですか?』