第26章 交差する想い
「課題?・・・ふぅん。じゃあ、邪魔みたいだから切るね」
やらなきゃいけないあるなら、別に・・・
『あっ!月島君、ちょっと待って!』
「なに?」
『えと、その・・・少しだけ、話し相手になって、くれたら・・・なんて・・・』
話し相手が必要なの?
課題、あるんじゃないの?
喉元まで出かかった言葉を飲み込み、小さく息を吐いた。
「別に、いいけど?でも僕、今シャワー中なんだけど」
『えっ?!シャワー中って・・・?!』
言わなくてもいいカミングアウトをすると、ポチは急に黙り込んで戸惑いの空気を漂わせた。
ちょっと、面白い事・・・思い付いた。
「ねぇ、一緒に入る?」
『・・・は、入るわけないでしょ!!』
一瞬の間を開けてから、今度は予想通りに叫ぶポチに、僕は思わず大きな笑い声を上げる。
『風邪ひいたら大変だから・・・切るね』
「待ちなよ、すぐだから」
それだけ言って、スマホを通話のまま置き、シャワーの続きを急いだ。
返事を聞く前にスマホ手放しちゃったけど、もし、通話が切れてたら・・・お仕置き考えないとね。
シャワーを止め、ドアを開ける。
フゥ・・・と軽く息を吐きながら、新しいタオルを棚から出した。
さっきのは、1度使ったからね。
そして・・・通話も切れている様子は、ない。
「ポチ、お待たせ」
『は、はひっ!!』
「は?・・・なに慌ててんの?あぁ、そっか。僕のシャワーシーンでも想像しちゃってた?」
込み上げてくる笑いを堪えながら、そんな事を言ってみる。
『ち、違うからっ!シャワーシーンなんか想像してないからっ!』
「じゃ、裸の方?」
『月島君?!怒るよ!!』
追い打ちをかけるように言えば、力いっぱい叫ばれた。
「そんなに慌てなくても、僕の裸なんていつでも見てるのに」
そう、体育館でシャツを着替えたりしてるからね。
『月島君・・・ほんと、もう、からかうのやめて・・・それから裸なんて見てないから!上だけだから!』
上だけだからとか、結局見てるじゃん?
田中さんみたいに、僕は下まで着替えようとはしないし。
クスクスと止まらない笑いをしていると、ポチが急に真剣な声で僕を呼んだ。