第26章 交差する想い
「あぁ。出来れば2人で・・・時間、平気か?ダメなら出直すが・・・」
菅「大地、オレも一緒に・・・」
影「だったらオレも行きます!」
一緒にいる2人がそう言うのも無理はない。
他校のヤツが、帰りを待ってたんだからな。
俺を警戒、してるんだろう。
澤「スガ、影山、先に帰れ。明日の朝練、遅れんなよ?」
菅「大地!」
澤「・・・先に帰れ」
影「岩泉さん!澤村さんに用事って、どんな?!」
主将に止められた影山が、今度は俺に詰め寄る。
「影山、別に俺は殴り込みに来たんじゃねぇよ。だから、心配すんな。気をつけて帰れよ?」
じゃ、行くか?
目でそう言って、俺達は一緒に歩き出した。
数メートル、黙ったまま進む。
お互いに気まずい空気が流れ続けるのもと思い、誘った俺から話しかけた。
「・・・アンタ、家は遠いのか?」
澤「家?ですか?」
なぜ敬語?
澤「俺んちは、駅向こうですけど・・・」
「そうか。じゃ、駅に近い方向で場所探すか・・・」
澤「あ、別に時間は平気なので・・・」
・・・・・・。
「なぁ、ひとつ言っていいか?」
一瞬足を止め、俺達は向かい合う。
澤「はい、どうぞ・・・」
「たいした事じゃねぇけど、その敬語みたいのやめねぇ?俺達は他校でも3年同士だろ?」
澤「・・・まぁ、そうですけど」
「だから、それだよ、それ。俺は別に頭から噛み付こう何か思ってねぇし、普通にしてくれよ、な?」
薄く笑い、より話しやすいように相手にそう伝える。
澤「じゃあ・・・遠慮なく、そうするよ」
「あぁ、そうしてくれ。岩泉だ。知ってると思うが。ついでに、呼び捨てでいいから」
澤「知ってる。俺も、澤村でいい」
軽く名乗り合い、お互い安堵の笑みを浮かべる。
「駅近くで、どっか話せるとこ探すか?あんま遅くなると家の者が心配するだろ?」
澤「さすがにこの年の男がそこまで心配はされないよ。それに、条件はそっちも同じなんじゃ?」
「俺か?俺んちはそう遠くないから大丈夫だ。影山んちの近くだからな」
澤「あぁ、じゃあ紡の・・・いや、城戸さんの所とも近いんだな・・・」
「普段・・・名前で呼びあってんなら普通に呼べばいい。俺に気を使うな」
その方が、今はいいから・・・
澤「場所・・・だけど。この先に確か公園があったと思うんだけど?」