第26章 交差する想い
菅「とりあえず聞いとくけど・・・大地、オレに鍵閉め頼んだの、忘れてたべ」
「いやぁ・・・そんなことは、だな。ハハッ」
・・・忘れてました。
なんて言ったら、怒る・・・だろうな。
「ま、気にすんなって。着替えて一緒に出よう」
菅「オレのセリフだっつーの!」
スガが着替え終わるのを待って、影山と3人で部室を出て歩き出す。
その間もずっと、さっきの事を考えていた。
紡が・・・何を悩んでいるのか、を。
《 離れていて寂しいと思う人 》
俺が勝手に想像するヤツは、青城のアイツしか思い当たらない。
でも、あれだけ泣いたのに?とも、思う。
女心って、複雑だな・・・
経験なさすぎて、俺には分かんないよ。
菅「大地・・・ちょっと!」
隣を歩くスガが急に足を止め、俺の袖を掴む。
「どうしたんだよ、スガ。急に止まったら危な、」
菅「あれ!あそこにいるのって・・・もしかして」
スガがこっそり指差す方を見る。
影「・・・?!岩泉さん・・・」
影山の声に気が付いたのか、正門の横に背中を預けていた人影が動いた。
岩「・・・よう。ちょっと話がしたい」
「俺と?」
軽く周りを見て、言葉を向けられているのが俺だとわかりそう返した。
岩「あぁ。出来れば2人で・・・時間、平気か?ダメなら出直すが・・・」
菅「大地、オレも一緒に・・・」
影「だったらオレも行きます!」
2人で、って言われてるあたり、他には聞かれたくない話もあるのだろう。
それに、3対1はフェアじゃない。
「スガ、影山、先に帰れ。明日の朝練、遅れんなよ?」
菅「大地!」
「・・・先に帰れ」
影「岩泉さん!澤村さんに用事って、どんな?!」
俺に止められた影山が、今度は相手に詰め寄る。
岩「影山、別に俺は殴り込みに来たんじゃねぇよ。だから、心配すんな。気をつけて帰れよ?」
その言葉を合図にして、俺達は一緒に歩き出した。
・・・いま、俺の目の前には。
さっきまで俺の脳裏に浮かび上がっていた人物が・・・いる。