第26章 交差する想い
影「別にイイっすけど、俺あんまり国見とは仲良くしてた訳じゃ・・・」
あぁ・・・孤独の王様の事か。
「詳しくでなくていい。ただ、紡とどんな関係だったか聞きたい」
影「城戸と?なんでですか?」
「武田先生から、病室に向かう時に青城のバレー部員を見かけたって聞いて。どんな人だったか聞いたら、俺がさっき言った事と同じ事をいってて。影山と同級生だと思うって言われたからさ」
俺がそう言うと、影山は少し考えてから話を始めた。
影「国見は中学3年間、城戸と同じクラスで、仲も良かったです。俺達男子バレー部と城戸がいた女子バレー部は、体育館でネットを挟んで隣同士っていう練習日も多かったし。昼休みとかも一緒に食べたり、あ、でも2人でとかじゃなくて金田一とかもですけど」
単に仲が良かったから、病院に行ってたのか?
「2人が・・・付き合ってたり、とかは?」
影「それはないと思います。城戸の事をベタベタに甘やかしたりはしてましたけど、国見の方は彼女とかいた時もあったし、それでも城戸の事が好きなんだな?と思う事はありましたけど、でも城戸は・・・そのうち、その・・・」
「そっから先はいい。俺も知ってる」
・・・なるほど、やっぱりそういう事か。
純粋に仲の良かった友達がケガで入院したから・・・という気持ちなのかも知れないが・・・
もしかしたら、まぁちょっと下心もあり・・・みたいな・・・
いやいやいや。
俺は何を勘ぐっているんだ。
普通に前者の方だろう。
だって紡は・・・まだ・・・
田「大地さん、俺たち帰っても?」
帰り支度を終えた田中達が、入口を塞いでいた俺に遠慮がちに声をかける。
「あぁ、スマン・・・気をつけて帰れよ。影山もありがとうな。俺達も着替えるか」
影「あ、はい」
部室に2人、帰り支度を始める。
影山はさっきの事で、なにか聞きたそうな空気を出しているが・・・黙って着替えをしている。
何となく、影山が言いたい事が分かる気もするが・・・
ガチャりと音をさせながら、部室のドアが開く。
「なんだ・・・スガか・・・」
菅「なんだじゃないよ大地。オレに鍵閉め頼んだの大地だろ?はい、体育館の鍵」
「あはは・・・そうだったな、ありがとうスガ」
鍵を受け取りながら言うと、スガは微妙な顔を見せた。