第26章 交差する想い
~及川side~
さっきから・・・
岩ちゃんの様子がおかしい。
いや。
正確には、ここへ来た時から・・・というのがそうだ。
何を話していても、どこか上の空で。
いつもならまっつんやマッキーが際どいエロ話を始めると、いい加減にしろや!とか笑いながら止めるのに。
・・・それも、ない。
おかげで餌食にされた金田一が死にかけてるよ。
「岩ちゃん、生きてる?」
岩「あぁ」
「岩ちゃん、オレのこと好き?」
岩「あぁ」
「じゃあ・・・愛してる?」
岩「あぁ」
・・・ちょっと待って。
オレは岩ちゃんの彼女か?!みたいな質問ばっかりしてる気がする。
そしてそれにうわの空で素で返されると・・・なんか凄い恥ずかしい・・・じゃないか!
松「花巻、どこで止めればいい?」
花「面白いから止めなくていんじゃね?」
松「及川も遂にそっちの世界へ足を踏み入れんのかぁ・・・」
「って!そっちは行かないから!適当な所で止めてくれよ!」
目の前に座る2人に、オレからツッコミを入れた。
岩「ウルセーぞ及川!1人で騒ぐな!!」
「岩ちゃん?!オレだけ?!」
急に怒る岩ちゃんに今のはマッキーとまっつんもだろ!と迫る。
岩「いつもウルセーのはお前なんだから仕方ねぇだろが」
「岩ちゃんヒドイ・・・」
泣き真似をして、わざとらしく岩ちゃんの胸に寄りかかる。
岩「気持ち悪いからくっつくんじゃねぇ」
・・・あれ?
なんだろう、この違和感・・・
「い、岩ちゃん?ちょっと?」
そう言いながら、押し離そうとする岩ちゃんにもう1回近付き、違和感の理由を探る。
・・・岩ちゃんから、甘い香りが・・・した。
この香り・・・つい最近、どこかで・・・?
松「何やってんだ及川・・・アホ丸出しな事この上ないぞ?」
「違うよまっつん!岩ちゃんから何か・・・女の子みたいな甘い香りが・・・」
でも・・・オレはどこでこの香りに遭遇したんだろう。
金「マジっすか及川さん!!ちょっと嗅いだだけで女子の匂いが分かるとか、さすが及川さんッスね!」
花「おーおー、金田一の食い付きハンパねぇ」
岩「バカかお前達は!そんな分けねぇだろが。ったく・・・どんな匂いがすんだよ」
言いながら岩ちゃんが、ネクタイを持ち上げ鼻に付ける。
岩「・・・・・・気の、せいだろ」