第26章 交差する想い
和泉先生・・・か・・・
学校へ行ける様になったら、また呼び出されたりして。
『武田先生?和泉先生が、どうかしたんですか?』
ブツブツと独り言を言う武田先生に声をかけると、いきなり両肩をガシッと掴まれた。
武「城戸さん!もし今度、和泉先生に呼び出されたら・・・」
『よ・・・呼び出され、たら?』
武「留学なんて必要ない事を証明しましょう!うん、それがいい!その時こそ、僕も立会いますから!」
『・・・はぁ』
ひとり盛り上がりガッツポーズさえする武田先生を見て、今度は私がポカンとしてしまった。
武「さ!和泉先生の対策は出来たし、当初の目的のお散歩に行きましょうか」
『あ、はい・・・お願いします』
武「えぇ!お任せ下さい!」
足取り軽く車椅子を押してくれる武田先生は、とてもにこやかな笑顔で歩き出した。
なんか・・・武田先生って表情豊かで楽しい。
そんな風に思いながら、私はゆっくり流れる景色を眺めていた。