第26章 交差する想い
その中から1つ取り出し、開いてみる。
『あ、日向君のだ・・・』
〖 城戸さん! オレは小さな巨人になる! 〗
・・・それ何回も聞いたよ、日向君。
あれ、まだ下に続きが。
〖 その為には城戸さんにまだまだレシーブ教えてもらわないとダメだから!だから、絶対部活来て!! 〗
袋の中から、また1つ取り出す。
この字は絶対に影山の字だ・・・
なんか嫌な予感がするから、今読むのはやめよう。
影山の、恐らく影山のメッセージを脇に置くと、武田先生から読まないんですか?と聞かれた。
『多分、影山のだから・・・あ、ほら先生、裏に影山って書いてあるでしょ?いつも影山は私にチビとか、ブスとか言ってばかりだから、後にしようかと・・・』
武「そうなんですか?影山君は素直じゃないですね~。僕は城戸さんは素直で可愛らしいと思いますよ?」
『え?!あ、あはは・・・武田先生は、時々ビックリ発言するので心臓に悪いです・・・』
言いながら、またメッセージの紙を取る。
菅原先輩の・・・何だか折り畳み方が女子みたい。
メモがYシャツの様な形に折られていて、なんか楽しい。
〖 紡ちゃんへ 大地から頭を打った所は大丈夫だって聞いた。でも、足は痛いよね?無理しないでちゃんと治すんだよ?学校へ来れるようになったら、階段は任せといて!オレがちゃんとおんぶや抱っこで教室までエスコートしてあげるからね♡ 菅原 〗
・・・完全に治るまで、学校いきづらいよ。
でも、菅原先輩らしい文面で、優しさが伝わって来る。
『なんか、嬉しいです。こういうの貰ったの初めてなんで・・・』
鼻の奥がジーンとするのを耐えながら、ポツリと言った。
武「みんな、城戸さんの事が大切で、大好きなんですよ。僕も含めて、ですが」
『武田先生。聞いて欲しい事があるんです・・・』
私がそう言うと、武田先生は僕でいいなら聞きますよ?と微笑んでくれる。
『実は、』
と、言いかけたところでドアをノックされ話が途切れる。
桜「紡、入るよ?」
『はーい、どうぞ』
ドアを開け、桜太にぃが看護師と一緒に部屋に入って来る。
桜「武田先生、お話中すみません。回診の時間なので・・・」
桜太にぃが言うと、では僕は席を外しましょうと立ち上がった。
『武田先生?検温とかだけなのでいても平気ですよ?脱がないし』