第26章 交差する想い
さっき・・・どうしてあんな事になったんだろう・・・
頬に手を当て、国見ちゃんとの事を思い返す。
国見ちゃんは・・・あの後。
頬に唇を寄せて・・・
私が驚いてると、耳元で小さく、冗談だよ、バーカって・・・
そういうのは、本当に大事な時まで取っとけよって。
・・・騙された。
って、一瞬思って怒っちゃったけど。
お互いに顔を見合わせて大笑いして、なんかスッキリして。
国「ま、今ので頭ん中は俺でいっぱいになっただろ?今のは未遂だけど、今度はホントにするからな?」
って言いながら、国見ちゃんは帰って行った。
なんか・・・国見ちゃんにはいろいろと借りがある様な・・・
うむむ・・・と頭をこじらせていると、遠慮がちにドアがノックされた。
『はい、どうぞ』
ベッドの上に座ったまま返事をすると、静かにドアが開けられ武田先生の姿が見えた。
武「こんにちは、城戸さん」
『先生?!どうしたんですか?』
普段と変わらないニコニコ笑顔で部屋に入る先生に、思わずそう声をかけてしまう。
武「あはは、先ほど城戸さんのお兄さんにも同じ事を言われましたよ。さすが兄妹ですね」
『そうじゃなくって。担任の先生ではなく、武田先生だった事に驚いてるんです』
そっちでしたか、と笑いながら、武田先生はベッドサイドまで来た。
武「ここに座っても?」
そう言う先生に、私はどうぞ?と椅子を勧めた。
武「実はですね、担任の先生と僕が話をして、現場に居たのは僕なので・・・と僕が来たんです。だから、ちゃんとプリントやお便り、それから課題何かもたくさん預かってきましたよ?」
『課題・・・ですか?』
暫く学校へは行けないんだから、山のような宿題を出されても仕方ない。
次々に重ねられていく課題を見ながら、こんなに・・・とため息が出る。
武「それから、これは部の皆さんからお預かりしてきました。どうぞ?」
最後に小さな可愛らしい巾着袋を手渡された。
『これは・・・?』
武「澤村君の提案で、みんなからのメッセージが入ってるそうですよ」
みんなからのメッセージ・・・
『開けてみてもいいですか?』
武「あなた宛なのですから、もちろん構いません」
そう言われて、綺麗に結ばれたリボンを解いていく。
袋に手を入れると、カサリとたくさんのメモが入っていた。