第26章 交差する想い
「僕は歯医者さんってより、外科医のイメージですよ。なんかこう、今からオペします!って感じでカッコイイじゃないですか」
桜「まぁ、種類的には同じですから。でも俺は白衣の方が好きなんです。パッと脱いだらすぐ帰れますから。ケーシーやスクラブは着替えに手間が・・・」
「そうなんですか?」
桜「我が家には、お腹を空かせた小さなお姫様が待ってますからね・・・」
なるほど・・・
帰り支度を手早く済ませられるための、白衣なのか。
何気ない言葉の節々に、城戸さんは、たくさんの愛情を注がれているんだなと感じる。
さ、行きましょうか?と促され、僕は病室まで案内された。
桜「紡の部屋は、そこですから。ここで面会受付をしてからどうぞ?すみませんが俺はまだ、仕事がありますから・・・」
「こちらこそありがとうございました。では、お仕事頑張って下さいね!」
そう言葉を交わし、僕達は別れた。
城戸さん、驚くでしょうか。
それとも、澤村君達ではない事に残念がるでしょうか・・・
そんな事を考えながら、僕はドアをノックした。