第26章 交差する想い
もしかして、紡。
その烏野のキャプテンと・・・つ、付き合ってる?とか?!
いやいやいやいやいや・・・
岩泉さんとタイプが違うって昨日思ったばっかだろ!
ち、違うよな?!
『国見ちゃん?どうしたの?なんか1人で百面相してるけど・・・』
顔を近付け覗き込む紡の肩を押さえ、俺は軽く深呼吸をした。
「紡、お前・・・キス、した事あるか?」
『・・・はぁ?!だだ、だっ、誰と?!じゃなくて!!そんな事した事ないよっ!!!』
紡のこの慌てぶりはなんだ?!
って、俺は何聞いてんだ?!
「じゃあ、烏野のキャプテンとまだ何もないのか?」
『まだって何?!何で?!大地さんとそんな事ある訳ないでしょ!!ただの優しい先輩なんだから!』
そっか・・・ただの優しい先輩・・・
「えっ?」
『えっ?!』
変な空気を残したまま、お互いの時間の流れが止まった。
気まずい・・・
勢いであんなこと聞くんじゃなかった。
『国見ちゃん、さ?』
「あ?」
先に沈黙を破ったのは紡なのに、また、お互いの間に静かな空気が戻って来る。
『・・・その・・・した事、ある?』
「は?なに?」
い、今コイツ何て言った?!
『だ・・・だから!誰かとそういうの、した事・・・ある?』
「紡の言ってる、そういうのって・・・キスの事?」
俺が言葉に出して言うと、紡は顔を真っ赤にさせながらコクコクと頷いた。
コイツ・・・キスって聞いたくらいでこんなに真っ赤になるとか。
もし、されたら・・・どうなっちゃうんだ?
椅子の背もたれに寄り掛かり、バランスを取りながら傾けて揺らす。
「な、くはないケド?これでも一応、彼女いたし?」
『あの、さ?変なこと、聞いてもいい?』
「別にいいけど、なに?」
その前に、変な事ならとっくに聞いてると思うんだけど?
『キス・・・したい時って、どんな時?』
「は、ぁ?!」
驚きのあまりバランスを崩し、盛大な音を立てて椅子ごと転がってしまう。
「ッてぇ・・・」
『大丈夫?!』
ベッド上から紡が心配そうに覗く。
「紡が変なこと言うから驚いたんだよ!大丈夫な訳ないだろ!っていうか、いろいろ大丈夫じゃねえよ!」
・・・ったく、驚かせやがって紡のヤツ。
『それで・・・どういう時?』
まだそれ聞くのかよ!
「どんな時って、言われても」