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【 ハイキュー !!】~空のカタチ~

第26章 交差する想い


『・・・ハジメ先輩、ズルイのは・・・私も同じかも知れません・・・』

そう言って、ゆっくりと背中に腕を伸ばす。

思うままに引き寄せると、岩泉先輩の体がピクリと揺れたのを感じて・・・こんなのやっぱりダメな事だと、現実に引き戻された。

伸ばした腕を緩め、引力に逆らうこともせず、そのまま下ろし体を引いた。

『今のは、なしで・・・ごめん、なさ、』

言い終わる前に、離したばかりの体が引き寄せられる。

岩「謝らなくていい。悪いのは、全部・・・俺の方だ」

『そ、んな事、ない・・・』

岩「紡・・・」

『・・・はい』

岩「イヤ、だったら・・・」

抱き寄せた腕を解き、岩泉先輩が私の頬に触れた。

『ハジメ先輩・・・?』

岩「嫌なら・・・殴っていいから・・・」

ゆっくりと距離が縮まり、これから起こる事を予感して、瞬きを繰り返す。

岩「目・・・瞑っとけ・・・」

『はぃ・・・』

言われるままに、そっと目を閉じる。

岩泉先輩の存在が、より一層近付いたと思った・・・その時。

まるで警鐘のように、けたたましく着信音が鳴り響き、お互いハッと我に返った。

岩「・・・切り忘れてたのか」

岩泉先輩はそう呟きやいて制服のポケットからスマホを取り出すと、着信の相手を確認して苦い顔をした。

岩「悪ぃ・・・ちょっと」

『え、あ、はい、どうぞ』

部屋の端まで行き、岩泉先輩は着信を受けた。

岩「・・・なんの用だ。あぁ?うるせぇよ、オマエには関係ないだろ。は?・・・知るか!そのまま死んどけよ!!あぁ、もぅウルセェってんだよ!わかった!!行けばいいんだろ?!じゃあな!」

・・・この会話の感じ、きっと及川先輩だ。

あんな風に遠慮なく言い合える相手は、及川先輩しか見たことない。

そんな事より・・・私・・・

今、何をしようとしたの・・・?

震える指先で、そっと唇に触れてみる。

どうして・・・

あの瞬間、着信がなかったら・・・あのまま・・・

岩「紡・・・悪ぃ、及川から呼び出しだ」

大きく息を吐き、岩泉先輩が私の方へと戻って来た。

『大事な用事かも知れないので、行ってあげて下さい・・・私なら、大丈夫ですから』

岩「どうせアイツの事だ。大した用事じゃねぇよ。それに、お前の大丈夫ってのは、ホントはそうじゃねぇって事も、お見通しだ」
















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