第26章 交差する想い
・・・退屈過ぎる。
熱がある訳でもなく、足が・・・って言うだけで体は元気。
なのに入院とか、ホント有り得ない。
桜太にぃにお菓子は没収されるし。
慧太にぃは急な呼び出しがあって、仕事に行ってしまったし。
寂しい・・・と言えば、そうかも知れない。
今までは一人で過ごす時間が長くても、別にどうも思わなかった。
時間になれば桜太にぃや慧太にぃが帰って来る。
それまで勉強でもしてよう・・・とか、そんな感じだった。
なのに、こんな風に一人でいるのが寂しいと思うのは・・・
みんなといる楽しさに、慣れてしまったからなんだろうか。
一人で黙々とお昼ご飯を食べて、午後の時間を何もする事なく病室で過ごす。
誰かにLINE・・・はダメだよね。
みんな学校だし。
例え授業が終わっても、その後は部活があるから退屈だからという理由だけの私の話し相手なんか・・・する暇、ないよね。
ベッドにゴロンと寝転がり、今何時だろうとスマホを見ると、何件かのメッセージが届いている事に気が付いた。
いつの間に?
差出人は清水先輩と・・・影山、から?
どっちから読もうかと一瞬迷って、結局は何かの連絡事項だと困るから、先に清水先輩のメッセージから読み出した。
“ 城戸さん、具合いはどう?入院って聞いてビックリした。少しでも早く治ることを祈ってます。それから、セクハラ大王は今日も健在です(笑) ”
心配してくれてる前半に申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら、最後の部分で笑いが出てしまった。
セクハラ大王は健在・・・って。
菅原先輩、朝から清水先輩に何をやらかしたんですか・・・
これまでに何度も見た、ノートを丸めてスパーンとやる清水先輩の姿を思い浮かべ、更に笑った。
返信、した方がいいよね?
どう書くか悩みつつ、せめて丁寧に返信をしようと文字を打っていく。
・・・送信、と。
後は、影山のメッセージを見るだけ。
“ 診察終わったら連絡くらいしろってんだよ、チビ助が ”
・・・・・・・・・・・・忘れてた。
忘れてたけど!!
チビ助ってなに?!
いつもはお子様とか言ってるのに!
お子様って言うのも嫌だけど!
影山には連絡するのは忘れてゴメンと、ひと言だけ返信をした。
清水先輩が入院継続の事を知っているくらいだから、武田先生からみんなも聞いてるだろうから。
