第26章 交差する想い
~澤村side~
武「・・・今日はここまでですね。では終わりましょう」
4時間目の終わりを告げるチャイムが鳴り、武田先生の授業が終わった。
昼休みに入るって事で、教室内がざわめき立つ。
菅「大地、一緒に食うべー?」
離れた席から弁当を持ってスガが俺の席まで歩いて来た。
武「澤村君ちょっといいですか?菅原君も」
「あ、はい」
俺とスガが呼ばれるって事は、部活の事だろうか。
スガと一緒に教壇まで行くと、武田先生は片付けをしていた手を止め俺達を見た。
武「先程、城戸さんのお兄さんから僕宛てに連絡があったんです」
菅「先生それで?!お兄さんはなんて?!」
スガ、食いつくの早いな・・・
武「えぇ、それが・・・足の方が思ったより良くなくて、少なくても1週間は入院されるそうです」
「「入院?!」」
そんなに痛めてたのか・・・
確かに素人目にもかなり腫れてたし、その時には既に内出血も薄く見えてたからな。
なのに、大丈夫だとか、痛くないとか言って。
結果的に影山が抱えて手当てすることになって。
我慢強いのは悪いことじゃない。
けど、ケガに関しては別の話だ。
菅「大地、大丈夫?顔怖いけど・・・」
「え?あぁ、まぁ、うん」
怖い顔って、スガも失礼だな。
武「それで、今日の放課後に僕が城戸さんの所へ行って来ようと思ってるんですが」
「えっ・・・先生1人で?」
出来れば俺も・・・
武「昨日の今日ですし、多人数で行くより僕なら身軽に行けますので」
「そう、ですよね」
ほんの数日間でも毎日顔を合わせていた為か、今日の朝練にいないって事だけで、心に穴があいた様な気持ちになる。
・・・それだけ、あの小さな体で存在感があったんだなと思う。
「先生、頼みたい事があります。だから、放課後に俺が先生の所に行くまで、病院に向かうのは待って貰えませんか?」
武「えぇ、もちろんいいですよ?じゃ、放課後は僕は職員室で待機してますね」
「お願いします!」
それじゃ、と言って武田先生は教室から出て行った。
菅「大地、頼みたい事って?」
「紡に、部員からひと言ずつメッセージを貰おうと思ってさ」
菅「それいい!!・・・でも、今からで間に合うかな・・・」
「間に合わせるさ。とりあえず今すぐグループ・・・は紡も入ってるか・・・」