第16章 初めの1歩
金「なっ!国見が先に!・・・あーもぅー!」
言いながら金田一がスクイズを飲み干した。
金「あ・・・//////!」
国「・・・お前、ほんっとにアホだな」
金「う、うるせー//////」
金田一・・・、テメェは練習の時にぶちのめす。
それから国見もな・・・
『・・・澤村先輩はバレーが好きだと、答えをくれました。だから、私にはこの申し出は受けることは出来ません』
・・・!!
城戸の言葉で、現実世界に引き戻された。
ヤベェ。
岩泉さんの写真なんか見たから、なんかスゲー嫌なこと思い出した。
イラついて、モヤモヤする。
とりあえず金田一と国見は、今度会ったら叩き潰す。
気持ちを切り替えるために、バレないようにフゥ・・・と息を吐いた。
いま、どういう話になってんだ?
正面に座る2人と、隣の城戸を覗き見た。
菅「そうなんだ?・・・そう言えば縁下が、紡ちゃんのトスフォーム見て影山に似てるとか言ってたけど」
『教わったのは影山じゃないです。その頃はホントに影山は王様で、誰かに何かを指導するとか、そういうのは皆無でしたよ』
なっ?!
急に飛び出した自分の事に、息を詰まらせ咳き込んだ。
慌ててグラスを掴み、飲み干す。
ふぅ・・・
ひとまず落ち着いたところで、黙って空のグラスを置くと、城戸が当たり前のように、また飲み物を注いでくれる。
城戸も城戸だ。
俺だって、相談してくれればトスなんていくらでも・・・
いや、それはなかっただろうな。
岩泉さんと付き合っていたんだから、セッターの仕事は必然的に及川さんに聞くのが流れだろう。
それに俺は、自分から距離を作ってたから。
懲りずに考え事をしてしまい、グッと目を閉じ、開く。
澤「城戸さん・・・もう、無理には、」
澤村さんの言葉に、城戸はそっと首を振った。
?!
涙?!
『その理由、は・・・先輩、達には、理不尽か、と、思いますけどっ・・・』
城戸、オマエ?!
ポロポロと流れ落ちる涙を拭う事もしないで、俯きながら何かに耐えている。
握りしめた手も微かに震えていた。
城戸・・・もう、傷つくなって言っただろ・・・
俺は、正面に座る2人に気付かれないように・・・
その握りしめられた城戸の手を、そっと包み込んだ・・・