第16章 初めの1歩
ポロポロ涙をこぼし、それでも話を続けようとした私に、澤村先輩が止めに入る。
私は1度だけ首を振り、そのまま話を続けた。
『その理由、は・・・先輩、達には、理不尽か、と、思いますけどっ・・・』
嗚咽を洩らし、つかえながらも話し出す。
先輩達には理不尽に聞こえるかも・・・などと自ら言いながらも、続きを話そうとすると手が震え出す。
そっか・・・
あの時、あの場で納得したと思ってたのに。
私はそう思い込ませただけで。
実際は、そうじゃなかったんだ・・・
本当は泣いてすがり付いても、一緒に居たかった。
同じ速さで隣を走る事が出来なくても、必死に後ろからついて行きたかったんだ。
聞き分けのいい振りをして・・・私から手を離したんだ。
どんなに後悔しても、もう・・・遅い・・・
悔しさと情けなさを握り潰すように、握った手の指先が白くなる程、力が入る。
絶望と後悔の波が押し寄せた時。
左手にスッと暖かさを覚える。
滲んだままの目で、反射的にそれを見た。
影山の大きな手が、私の手を包み込んでいた・・・