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【 ハイキュー !!】~空のカタチ~

第16章 初めの1歩


影山から送られる眼差しのメッセージは、とても柔らかく、普段の影山からは想像もつかない穏やかなものだった。

そのメッセージに、私はうっすら微笑んで返して、それを、ありがとうの代わりにした。

すぅ・・・と、肺いっぱいに新しい酸素を送り、ゆっくり吐き出す。

そして姿勢を正して、顔を上げた。

『これから話す事は、兄達も知りません。本当は、思い出す事さえ、ちょっと・・・でも、いま話す事が必要だと・・・思うから』

言いながら、俯きかけて、グッと堪える。

澤村先輩と菅原先輩は、私の言葉を聞いて顔を見合わせたあと、頷きあって姿勢を正していた。

澤「分かった、他言はしない」

菅「約束する」

2人とも真剣な眼差しをしながら、聞き入れる体制になっていた。

『私は兄達にくっついて、ホントに小さい頃からバレーと共に過ごして来ました。中学に入っても、それが当たり前の様にバレー部に入り自分なりに頑張っていたと思います。私は見ての通り体が小さいので、小学校のクラブチームでも、花形と言われるスパイカーに選ばれる事はなく、じゃあ何が出来るかって考えて兄達に教えを請いリベロを極めようと心に決めて練習を重ね、それに徹したんです。あのチームのリベロは凄い、アイツがいるから点が取れない、そう言われることに喜びを感じていました。それはもう、笑っちゃうくらいに』

そう言って私は笑って見せると、先輩達もフッと息を漏らした。

『中学でもそれは変わらず、1年生の間は控えの先輩達を押し退けて、試合に出して貰ったりもしてました。勝ちたいなら、私を試合に出して・・・そう言う黒いオーラが出てたのかも知れませんけど。その辺はちょっと、影山っぽいでしょ?勝ちたいなら私の言う事を聞け、みたいな?』

少しおどけながら影山に視線を送ると、菅原先輩が堪らずププッと吹き出し、澤村先輩さえも笑いを堪えているのが分かる。

影山は何も言わないけれど、その眉間に深いシワが寄るのが分かった。

『でも、そんな時、顧問の先生にポジション変更をされたんです』

菅「えっ?!急に?!だって試合とか出てたんでしょ?」

テーブルに乗り出しそうな勢いで、菅原先輩が言う。

『はい。元々セッターをしていた先輩が家庭の事情で転校され、その時いたもう1人のセッターをしていた先輩が突然バレー部を辞めてしまったんです』







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