第16章 初めの1歩
桜「じゃあ、慧太よりも、ずっとずっとって事にしておこうかな?」
桜太にぃの言葉で、更に笑う。
『それ聞いたら慧太にぃがいじけるよ?』
桜「平気平気。俺は慧太にも負けませんから
」
ひたすら笑って、桜太にぃが私を解放して床に立ち上がる。
桜「さ。紡?俺は先にリビング行ってるから、着替えが終わったら降りておいで?」
『・・・分かった』
私の返事を聞くと、桜太にぃは救急箱を抱えてひと足先にリビングへ降りていった。
モソモソと着替えをしながら、桜太にぃから聞いた話を思い出す。
・・・マネージャー・・・かぁ・・・
確かに、影山と日向君達を見ていて、この先どんなに凄いことが起きるんだろうって思った。
その時、私はどこにいるんだろう・・・とも。
だけど、烏野男子バレー部に携わっていたら、いつかきっと。
あの人の、目標の妨げになる日が来るかもしれない。
目標を掴み取るために、苦渋の決断で別れを告げた、岩泉先輩・・・
写真立ての中で、ぎこちなく笑う岩泉先輩を見ながら、私は部屋を出た。