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【 ハイキュー !!】~空のカタチ~

第16章 初めの1歩


桜「今日、彼らが訪ねてきたのはね・・・」

のんびりとした口調で桜太にぃが話始める。

私は膝を抱えたまま、真っ直ぐな姿勢で、ジッとそれを聞いていた。

桜太にぃの話だと、澤村先輩達が来た理由は、
まず、私が残していった記録ノートのお礼から始まり、そのノートの書き方に関しての感想や、そして・・・

『マネージャー?!私が?!』

桜太にぃの口から出た単語に、驚きのあまり叫ぶ様に繰り返す。

桜「彼らは、強制はしないけど、ぜひ紡にお願いしたいから直接話がしたいですって言ってるけど・・・」

そんな・・・

私はただ、今後のバレー部の活動に活用できれば・・・くらいの考えで記録しただけなのに・・・

それに、私はきっとバレー部のマネージャーには向いていない。

健気にみんなのお世話をして、裏方に徹する事は、きっと無理な仕事だと思う。

『・・・無理、だよ・・・私には出来ない・・・』

俯き、ポツリと呟く。

両膝を抱える腕に、ギュッと力が入る。

あの場にいればいるほど、きっと、みんなと一緒にボールを触っていたくなる。

そして、いつか・・・

もう、役目は終わりだよ、と、置いていかれてしまうかも知れない。

私はそれが・・・怖い。

ギュッと抱きかかえた膝に、顔を埋める。

桜「紡にいま話をしたのはさ、考える時間が少しでも欲しいだろうと、思ったから」

顔を埋めたまま、黙り込み、動かなくなった私を見て、桜太にぃが静かに言った。

キィ・・・と椅子が動く音がして、静まる部屋に衣擦れの音と空気が動く気配がした。

このまま、桜太にぃが部屋から出て行くのだろう、そう・・・思った。

桜「紡・・・」

そっと頭を撫でられ、名前を呼ばれる。

私の隣でベッドが沈む感覚が伝わって来たと同時に、背中がほわっと暖かくなった。

桜太にぃが、その長い手足で、今も縮こまってる私をすっぽり包み込む。

桜「何を、怖がってる?」

私を包み込んだまま、桜太にぃが問いかける。

『別に、何も・・・』

背中の暖かさに甘えながら、精一杯の強がりで返す。

桜「ウ~ソ。紡は小さい時はいつだって、雷が怖いとか、オバケが怖いって時は小さく小さく丸まってた」

『そっ、それは小さい時のことでしょ!!』

恥ずかしさが先に立ち、思わず顔を上げ振り返る。

桜「やっと元気になったか」




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