第16章 初めの1歩
桜「う~ん、そういうんじゃなくて。紡が言うには、条件反射だったみたいなんだけど。だいたい俺が紡にお説教タイムの時は同じように座らせて、俺が前に目線を合わせるように座るだろ?」
桜太さんが言うと、思い当たることがあるのか、あっ~それな・・・と慧太さんが零す。
桜「だから、さっき同じような位置になった時ビクついちゃって」
澤「それって、城戸さんが謝らなきゃいけない何かがあってのことなんですか?」
慧「あるかもしれないけど、多分違うな」
大地がいうと、慧太さんが即答で返す。
慧「桜太は普段は紡にもう生クリームのように甘くてベタベタなのによ、何か説教がある時は紡がちゃんと反省するまで懇々と穏やかに静かに長ーい説教だろ?だからじゃね?」
桜「慧太、ちょっと人聞き悪くない?」
影「そんなに長くて怖い説教なんスか?」
「あ、おいっ」
影山!
なんつー事をサラッと言うなよ!
影山の無鉄砲な発言に気を悪くするわけでもなく、桜太さんが答える。
桜「そんな事ないよ?ちゃんと納得して反省する様に言うだけだから」
慧「わかりやすく言えばだな・・・アレだ。普段は大人しいヤツが怒ると怖い、ヤバイ、的な?」
普段が大人しいヤツが・・・
怒ると怖い?
ヤバイ?
慧太さん、それって凄く分かりやすいです・・・
オレと影山が無意識に大地を見る。
その視線に気づいて、大地は怪訝な顔でオレ達を見た。
澤「スガ、それに影山。そこで何故、2人して俺を凝視する?」
「えっ?!あ、あは、ははは・・・何でもないよな?な?影山?」
大地は怒らせると、とにかく怖い。
オレでさえヤバイと思うからな。
影「桜太さん、城戸は?」
話題を変えるようなタイミングで影山が聞く。
桜「紡?着替えが終わったら降りてくるよ。多分、もうすぐ」
紡ちゃんが戻って来たら、大地が話を切り出すんだろうけど・・・
一体どんなに顔で話を聞いて貰えるんだろう。
そんな事を考えながら、オレは紡ちゃんが来るのを待っていた。