第39章 聳え立つ壁
澤「これでお互いの連絡先は交換出来たから、何かあったら遠慮なく連絡して貰ってもいいから」
そう言って澤村先輩は私を自分の後ろへと隠し、代わりに菅原先輩がその隣りに立った。
菅「一応、だけど。ウチのマネージャーに用があるなら、その前にウチの主将に話を通して貰わないとなんで。部の存続にかけても、大事で、貴重なマネージャーだから」
ね?と菅原先輩が澤村先輩と東峰先輩に促した。
旭「そういう事だから、オレたちはこれで」
行こうか?と東峰先輩が私の肩をポンっと叩き、そのままやんわり押す形で一緒に歩き出す。
『あの、本当にすみませんでした。でも、良かったんですか?もしどこか痛いところとかあったとしたら』
旭「いいんだよ、アレで。だいたい、城戸さんに衝突されたくらいでケガするようじゃ鉄壁とは名乗れないだろ?それにオレから見ればあの類いはスガと同じだよ。城戸さんに構いたくて仕方ない!って感じのね。だからアレでいいんだ。怖い主将が目を光らせている間は滅多にちょっかい出せないし」
そう言って東峰先輩は、あ、今のオフレコね?と人差し指を口元に当てた。
『そんなに他校の1年生マネージャーが気になるものなんでしょうか?』
旭「うーん・・・そういう訳じゃないんだけどさ?ほら、烏野にもいるだろ?例えば月島や影山なんかも近しい感じだと思うよ」
影山に、月島君?
それこそ分からない・・・けど。
あの二口とかって言う人は、どことなくノリが及川先輩や矢巾さんのような感じもして、そういう方向性の人だとしたら妙に納得出来てしまう自分もいた。
澤「とにかく、だ。紡はちょっと目を離すとすぐトラブルに巻き込まれるから、これからは周りをよく見て行動する事。それから、知らない人に声を掛けられてもついて行かない事。あと、アレだ・・・何やらクッキーとかくれるって言われても靡かない」
『大地さん、それって私をお子様扱いしてません?まるで小さな子供に大人が約束させてるみたいな言い方なんですけど』
後ろを歩く澤村先輩に振り返って言えば、菅原先輩がプッと吹き出し慌てて口を押さえた。
菅「ほんっと、大地は烏野のお父さんキャラだよな」
澤「スガ・・・そういうお前はお母さん、なんだろ?」
旭「じゃあオレは間を取ってお兄さん、って感じか?」
「「それは絶対ない!」」
