第39章 聳え立つ壁
だけど、安心するのはまだ早い。
「しゃあ!調子に乗せねぇぞ!!」
あっという間に点を返され、点差はなかなか開くことなく22対20。
あと3点。
その3点を手に入れるために、どれだけ神経を削り取られるのだろうか。
日「トスくれー!」
この叫びは、影山は日向君にトスは上げない。
って事は、うん、やっぱり。
ー ピッ! ー
フリーとは言えずとも、日向君のおとりに惑わされてブロックが飛んでる向こう側にいる東峰先輩のスパイクが決まる。
縁「ナイスキー!」
菅「もう1本!!」
道「あと1点でマッチポイント!行けぇ!もう1本!!」
あと少し。
もう1本。
頑張れ!
この場にいる烏野側の人間が、どれだけ同じ思いで見守っているのだろう。
私もその中のひとりであることには変わらないけど、それでも壁を超えたい東峰先輩の気持ちは分かる。
今の東峰先輩は、前回の伊達工との試合でコートにいた東峰先輩とは違う。
絶対大丈夫。
何度も自分に言い聞かせながら、ノートに記録を綴る。
ヤバい・・・あのデッカイ人が前衛に上がって来た。
あのブロックを突き破らなければ、微々たる点差は閉じてしまう。
ー ピッ! ー
伊達工からのサーブを西谷先輩がしっかりと拾う。
そのボールの先には影山がスタンバイしていて。
日「持ってこーい!!」
日向君にトスを上げるも伊達工のブロックは日向君に反応してる!
ー ピッ! ー
嶋「あっぶねぇ・・・吸い込みか・・・」
嶋田さんが漏らした言葉に私も安堵の息を吐く。
いま、もし吸い込みじゃなくて返されていたら烏野側のメンバーはレシーブが間に合わなかった。
西谷先輩も澤村先輩も、烏野コートの中心よりも後ろ側にいて。
運良くトスを上げた影山が拾えたとしても、その後に続けてトスを上げる事は出来ないから。
『ほんと、心臓に悪い』
思わず呟いた言葉に嶋田さんがそうだなと言って、心臓持たないってより寿命が縮まりそうだと笑う。
嶋「まだ紡ちゃんとデートの約束も果たしてないのに早死にはゴメンだってのに」
ん?デートの約束??
滝「はっ?!嶋田お前いつの間にそんな約束してたんだ?!しかもJKだぞ?!繋心に許可貰ったのか?!」
『し、してない!してませんってそんな約束!それに繋心関係ないから!』