第39章 聳え立つ壁
滝「だ、だよな?!驚かせんなよ嶋田」
嶋「ん?もしかしてちゃっかりデート出来ちゃったりして?とか思ったんだけどなぁ?ほら、なんつーかさ、吊り橋効果みたいな?」
緊張の連続だった空気を和ませるかのように、嶋田さんが私に、ね?と言っては笑顔を見せる。
『ね?じゃありませんよ。吊り橋効果みたいなって言われても、私も嶋田さんも、試合に出てるわけじゃないじゃないですか。しかもちゃっかりとか言うし』
それじゃまるで及川先輩みたいじゃないかと思いながら大きくため息を吐いた。
嶋「まぁ、アレだ。紡ちゃんとは1度ドライブデートしてるし、今度またドライブ行こうぜ?」
『あれは合宿の時に卵買うのにたまたま・・・まぁ、いっか。嶋田さん、またお買い物ある時は嶋田マートの配達の車に乗せてくださいね?今度は武田先生も一緒に』
嶋「うわぁ、さりげなく引率者付きになった・・・」
あからさまにガックリとする嶋田さんに、さっきの嶋田さんのように、ね?と返しながら会話が流れながらも進んでいた試合状況を手早く書き込んで行く。
この流れが変わらずに行けば、烏野は新しい扉の向こう側へと進む事になる。
視界の端に映り込む青城の応援団に息を飲みながら、伊達工との試合が無事に終わることを心の底から祈った。