第39章 聳え立つ壁

あれ、フォーメーションが変わってる。

第２セットが始まる事でメンバーがコート入りして、記録を取るためにユニフォームの番号を書き記しながら、さっきまでの違いにペンが止まる。

確か１セット目の時は･･･とノートを捲れば、やはり思った通り影山のスタート位置が２つ分動かされてる。

と、なると。

伊達工のフォーメーションは変わっていないから、あぁ、なるほど。

日向君が伊達工のあのでっかい人との直接対決の回数を減らす方向にしたんだ、繋心。

でもそうすると、日向君が直接当たる回数が減る分、東峰先輩と月島君があの人と向き合う回数が増えることになるけど、それも含めた内の戦略だろうと見たままの情報を素直に記録していく。

ベンチ入りしている清水先輩も私と同じように記録はしてるから、きっと近くにいる清水先輩の方がもっと詳しく記録してるだろうから、試合が終わったら見せて貰うとして。

今はここから見える情報を落とすことなく記録しないと。

どんな結果であれ、大会が終わったら記録を見返しながらその先へとどう繋げるかになってくるから。

･･･大会が終わったら？

そう言えば影山、この大会が終わったら私に聞いてほしい話があるって言ってたっけ。

なんの話だろう？

なんだか影山にしては神妙な顔してたけど。

まぁ、いいか？

いつもは私の話聞いて貰ってばっかりだし、たまには影山の相談事くらい真剣に聞いてあげなきゃだし。

けど、影山の相談事っていったいどんなだろ？

バレーの事とか？

でもそれなら同じセッターっていうポジションを考えても、影山は私より遥かにハイレベルで私が相談されてもアドバイスは出来ないよ。

そんな相談事だったら、菅原先輩とか、一応セッターだった繋心だとか･･･あとは、嫌かもしれないけど及川先輩、とかの方がちゃんとした的確なアドバイスが出来ると思うし。

まぁ、あの及川先輩が影山にアドバイスだなんて想像もつかないけど。

っと、ダメダメ！

ちゃんと私も試合の流れに集中しなきゃ！

フルフルと軽く頭を振って邪念をどこかへと放り出す。

烏野にとっても、東峰先輩にとっても、この伊達工との試合は大きな壁を乗り越えられるかの大事な試合。

この試合に勝ったら、次に当たるのは青葉城西。

及川先輩も岩泉先輩もいる･･･強敵だから。