第33章 それぞれの覚悟
菅「大地は主審を頼まれたけど、オレは岩泉に紡ちゃんのSPを頼まれたんだよ。だからこれがオレの担当」
なんかよく分からないけど、とりあえずこの話は流しちゃおう。
『とにかく、及川先輩は敵チームの学校なのでコッチ来ちゃダメです···作戦バレちゃうから』
及「オレはいつでも紡ちゃんの味方だけど?」
『そういうの、お腹いっぱいなので大丈夫です』
及「···紡ちゃん、なんかオレに冷たくない?オレなんかした?」
···。
しましたよ、バッチリ。
『さぁ···どうでしょう?及川先輩の胸に手を当てて考えてみたらんかるんじゃないですか?···心当たりがあるのなら』
それだけ言って、菅原先輩の背中をクイッと押しながらチームの輪に戻る。
チラリと振り返れば、及川先輩が胸に手を当てて首を傾げていた。
あの動作···ホントにやる人、初めて見たよ。
桜「みんな聞いて。次の対戦相手はさっきと同じ順序だから、青城チームだ。さっきは1桁負けしたけど今度は···簡単には勝たせてあげるつもりはないって所を見せてあげよう」
青城···
チラッと及川先輩の方を見れば、視線に気付かれてにこやかに手を振られてしまう。
···集中しよう。
桜「この試合は、紡···初っ端から好きなだけ暴れていいよ」
『え?』
慧「普段お前が澤村達と紅白戦してるようにやって来いってことだ」
桜「まぁ、道宮さん達のプレイを尊重しながら···だけどね?」
それってつまり···
『私にセッターとしてコートに入れってこと?』
桜「そういう事。次の対戦はツーセッターで行く···戦力の差はあるけど、大丈夫。戦術で負けるつもりは更々ないから。見たところ向こうの監督さんは、少しヒステリックなところがあるみたいだから、俺達指導者組はそこをつつくよ」
うわぁ、桜太にぃの微笑みが···黒い。
桜「武田先生は、さっきと変わらず隣に座っていてくれるだけで大丈夫です。選手交代とかタイムのタイミングは、俺がその都度お願いするので」
武「分かりました。よろしくお願いします」
慧「あ、そうそう。ツーセッターとか言っても、変わらず全員が全ポジション賄うことは同じだからな?この試合、固定のリベロはいない。全員がレシーバーで、全員がセッター···そして、全員がスパイカーだ」