第33章 それぞれの覚悟
~ 国見side ~
審判の笛が試合終了の合図を告げる。
いつの間にか主審が及川さんと烏野の···に代わっててびっくりしたけど、とりあえずは、まぁ、試合終わったし。
岩「国見。次の試合、副審入れるか?」
副審?
なんでオレが?
岩「次の主審は俺が入る。だから代わりに副審頼めるか?」
「及川さんはどうしたんです?」
元々の主審は、今日一日ずっと及川さんだったはずなのに。
岩「クソ川はクビだ。今は烏野のヤツが主審入ってくれたが、自分トコの女子チームなら審判入らねぇで見たいだろうから」
あぁ、なるほどね···でも、それだったら···
「岩泉さんは見なくてもいいんですか?主審、副審なら、俺と金田一でやってもいいんスけど?」
岩「いや、いい。国見が抜けたラインズは矢巾を入れる。代わりに得点板には及川を座らせときゃ目が届く···そんなとこトコだ」
ふ~ん?
「ま、イイっすよ副審入るの。じゃ、旗を矢巾さんに渡しながらポジション移動のこと伝えてきます」
岩「悪ぃな、頼む」
本当は、岩泉さんだって何も考えずに試合が見たいはずなのに。
いや、待てよ?
逆に···主審だったら、どこよりも近くで見れるとか?
あんま深く考えるのやめよ。
岩泉さんと紡はとうに終わってんだ。
紡だって前に、ちゃんと前向いて歩き出さなきゃとか言ってたし。
暫くはひとりでも平気!とか、虚勢張ってたけど、そのうち誰かと···歩き出すんだろ。
···誰かって、誰だよ。
烏野の···誰かなのか?
それとも、まさかもう···歩き出してるのか?
影山か?
それとも、あの烏野の主将とか?
わかんね···
そういや烏野とうちが初めて練習試合した時に紡が倒れた時、紡を抱き締めて離さなかったヤツがいたな。
名前、わかんねぇけど···あのソバカスのヒョロっこいやつ。
周りがどんだけ説得しても、泣き叫びながら紡を離さなかった。
···アイツ、なのか?
そういや金田一が、烏野のメガネのブロッカーが紡の事をポチとか呼んで仲良さげにしてたとかも言ってたよな?
ますますわかんね···
ただひとつ、分かってんのは。
アイツと歩き出すのは、きっと俺じゃないんだろうなって···それだけ。
俺も及川さんみたいに、攻めた方がいいのか?
それも···わかんねぇや。