第33章 それぞれの覚悟
~ 澤村side ~
岩「悪いな、せっかく自分トコの応援に来てんのに」
「いや、逆に声をかけて貰ってありがたいよ」
実は、上で見てるよりもコートの近くにいられるから、審判の手伝いを頼まれる方が俺得って感じだから。
岩「早速で悪いが、このクソ川の代わりに主審入ってくれ。副審は俺が入るから、頼む」
澤「分かった。けど、こっちにはスガもいるから副審も交代して休憩した方がいいんじゃないのか?」
菅「だね。副審代わるよ?」
岩「いや、アンタは烏野チームに張り付いててくれ。この自由人が入り込まねぇように」
あぁ···なるほど。
菅「別にそれでいいならいいけど、でもチームには桜太さん達がいるから大丈夫じゃないかなぁ?」
岩「こいつは目を離すと女子に危険を及ぼす要注意人物だからだ」
妙に納得してしまうのは、俺だけだろうか。
いや、しかし···スガはスガで野放しにするとチームどころか紡に張り付く危険性もあるから諸刃の剣···だけどな。
及「酷いなぁ岩ちゃん。それじゃまるで、オレが歩く性犯罪者みたいじゃん!」
当たらずとも遠からずってやつだな、これは。
岩「及川···もし他校のチームにちょっかい出しに行ったら、お前の秘密をひとつずつ大声で叫ぶからな」
及「オレの秘密?ないない、心当たりなーい」
岩「小学校3年生の時···及川徹少年は、放課後の教室で当時好きだったヤツの···」
及「ぅわぁぁぁぁ!!ダメ!それはダメなやつ!!オレのイメージがぶっ飛ぶヤツ!!」
放課後の教室で···何があったんだ?!
岩「お前がおとなしくしてるなら、黙っててやる」
いや、寧ろ気になるから言ってくれよ!
菅「小学生が放課後の教室で好きな子のって、ヤバイやつじゃない?例えばさ、リコーダー舐めたとか?」
及「やめろ!!爽やかにオレをディスるな!」
···当たりかよ。
っていうか、そういう事をスラッと思いつくスガも···怪しいけどな。
「スガ、念の為に聞いとくけど。お前は···清い小学生だったか?」
菅「えっ?!ヤダなぁ大地!オレは小学生ではそんな変態行為しないって!」
「小学生、では?」
菅「今までの人生でないから!ホント!信じて!」
必死になるあたり、怪しい。
岩「···澤村も苦労してんだな」
哀れみの目で見る岩泉に、俺は苦笑を向けた。
