第33章 それぞれの覚悟
~ 岩泉side ~
『上がってる!!』
道「ナイスレシーブ!」
へぇ···やっとお出ましになったと思えば、リベロとしてか。
さっきのピンサーは、たまたま流れを変える為にコートに入ったって事だったんだな。
ま、あいつは元々リベロだから、ちょっとやそっとのスパイクは拾えるだろ。
ただ、気になるのは···あいつ、まだ本気モードじゃねえってとこか。
まだ余裕がある顔してる辺り、試合を楽しんでるんだろ。
1巡目で見る限り、相手チームは···まぁ、烏野女子チームからしたら強敵だったかも知れねぇ。
打たれるスパイクは拾えず、落とすかレシーブミスの連発だったからな。
けど、今は。
紡が全てレシーブして、セッターの位置にボールを殺して戻してる事に危機感を覚え始めてるハズだ。
打っても打っても、コートになかなかボールが落ちねぇ···とか。
ブロックフォローもしっかり拾ってるし、烏野女子チームにはそれもあってか1巡目のような苦しい顔はまだ見せてない。
逆に相手チームには焦りの色が見え始めてる。
得点も23-24の烏野女子のリード。
···この試合、副審として側にいて、面白ぇ。
『道宮先輩!』
道「オッケ!!」
そして、唯一面白くねぇと感じるのが。
ー ピーーーーーーッ! ー
「「 ありがとうございました!! 」」
俺の対角線上でニマニマしながら笛を鳴らす···
及「ん~···今の試合なかなか面白かったよね、岩ちゃん?」
···コイツだ。
「及川、お前主審やりながらニヤケ過ぎだ。真面目にやれよ」
及「ヤダなぁ、岩ちゃん。オレはいつだって超マジメじゃん?···ちょっと、疲れてきたけど」
疲れてきたやつがおかしなポーズキメてんじゃねぇよ。
「疲れた?あぁそうか、お前が疲れてんのは···その液状化して来た脳ミソの方だな?よし、分かった···主審交代だな」
及「え、ホント?っていうか、脳ミソ液状化とかひどい!!」
ギャーギャー騒ぎ出す及川に一喝を入れて、このアホ野郎の代わりに主審やれそうなヤツを···と観覧通路を見上げる。
「澤村、あとそっちの···ちょっと2人で降りて来てくれ」
澤「俺達···?わかった。スガ、行くぞ」
菅「え、あぁ、うん」
とりあえずは、これでいいだろう。
あとは···及川をどうするか、だな。