第32章 不協和音
~ 澤村side ~
菅「大地!部活行くべ!廊下に旭もいるからみんなで行こうぜ!」
「あぁ、そうだな」
部活···か。
正直、気が重いのは確かだけど···主将である自分がサボる訳にはいかないな。
今日はずっと、今朝の道宮達との会話が頭の中でリフレインしていた。
単なる部活の先輩···それは間違ってはいない。
紡からしたら、道宮との会話での一部分なんだろうとも思う。
ただ···そういうのをハッキリ本人の口から聞いてしまうと···だな。
旭「影山達はもう体育館にいるのか···さすが早いな」
菅「あぁ、アイツらはいつもだから平気。朝練終わった時点で、もう既に放課後の部活の事で頭ん中いっぱいだからね」
旭「あれ?城戸さんもいるけど···放課後から女バレに行くんじゃなかった?」
菅「あ、ホントだ!···ん?なんか様子か変だな···縁下まで、なにやってんだ?」
影山に紡に、縁下?
意外な組み合わせだけど、何かあったのか?
スガと旭の会話を聞きながら、そのメンバーに釣られて少し先の体育館を見る。
縁「遠慮しなくていいって。さ、ほら?」
『あの、縁下先輩···ホントはからかってるんでしょ?』
縁「違うって。青城との練習試合の時にやってくれたから、そのお返しってコトで」
なんの話だ?
縁「はい、捕まえた~」
『えっ?!あっ!』
縁下が紡を腕に閉じ込めたのを見て、俺達3人は思わず足を止めてしまった。
縁「えっと、なんだっけ···あ、そうそう!城戸さんは大丈夫!城戸さんは頑張れる!オレ達みんなが着いてるんだから!···どう?元気出た?」
『縁下先輩···人にやられると、ちょっと恥ずかしいですね、コレ』
紡のおまじないを、縁下が?!
菅「いまの、なに?」
旭「なんか、見ちゃいけない物を見た気分だな」
···。
縁「でもさ、元気は出ただろ?さっきまで表情硬かったのに、今は笑えてるんだから。城戸さんは笑顔がカワイイんだからさ、笑って頑張っておいでよ?」
菅「紡ちゃんがかわいいのは···笑顔だけじゃないのに!」
旭「···そうだよな」
旭?!
普段そんなこと言うキャラじゃないだろ?!
ひげチョコでガラスハートなんだから!
それにしても縁下は···なかなか侮れない。
来る時よりも、更にモヤモヤとしながら小さく息をついた。