第32章 不協和音
『影山、私ちょっと用事があるから先に体育館行ってて?』
影「あ?用事って?」
『ん~、ま、ちょっと···ね』
細かい事は気にしない!と影山の背中を叩いて、じゃあね~と駆け出す。
行き先は、女バレが練習してる体育館。
考えてみれば、女バレが朝練自体やってるかさえ分からないけど···どっちにしてもその場所まで行けばわかる事だしと先を急ぐ。
···体育館、開いてる。
中から数人の声もする。
行くしか、ない。
そう思うと足取りが重くはなるけど、ここで躊躇していたら本来私が行くべき場所に遅れてしまう。
よし!···と小さな気合いを入れて、女バレのメンバーが数人いる体育館の入口へと向かった。
『あの!···おはようございます!』
いつもより3割増位の元気で声を掛けると、中にいた1人が驚きながら振り返った。
道「おはようござい···城戸さん?!」
『道宮先輩、おはようございます。貴重な朝練の時間にすみません···ちょっとだけ、いいですか?』
軽くお辞儀をして言えば、道宮先輩は小走りで入口まで出向いてくれた。
道「どうしたの?あ、清水さんまだ来てなくて更衣室空いてなかった?」
『いえ、そうじゃなくて···昨日のお話の事で』
そう伝えると、道宮先輩は少しだけ表情を暗く見せながら···外、出ようか···とシューズを脱いだ。
道「城戸さん、昨日はごめんね?私も切羽詰まって焦っててさ···城戸さんの気持ちとか何にも考えてなかった。澤村とは、仲直り出来た?もしまだなら、今から私も一緒に澤村に謝るから」
昨日の練習の後の事がもう道宮先輩の耳に入ってるのかと、情報早いな···なんて思いながら、それに関しては後で澤村先輩とちゃんと話すから大丈夫だと言った。
道「そっか。もし上手く仲直り出来なかったら言ってね?···それで話って言うのは、多分、アレだよね?」
『はい···昨日のお話、お受けしようと思います』
道「だよね···っ?!えっ?!本当に?!」
驚き過ぎて目を丸くしながら、道宮先輩が私をガクガクと揺する。
『み、道宮先輩、落ち着いて下さい本当です。但し、失礼とは思いますが···いくつかの条件があります···それでよかったら、のお返事になりますけど、聞いて貰えますか?』
道「···条件って?」
条件という言葉に反応して道宮先輩が私を見る。
