第32章 不協和音
矢巾さんと別れて、代わりに国見ちゃん達と家までの道を歩く。
いつもは影山と二人で行った歩いてるせいか、3人でいると私が何も言わずにいても会話が聞こえてきて賑やかな感じがする。
国見ちゃんと金田一くんの会話だから、当然···青城の話で。
そこには当たり前だけど、及川先輩がどうの···とか。
岩泉先輩がどうの···とか。
その日の2人のやり取りが、目に見えるような会話が殆どで、話を聞きながらもフッと笑ってしまって。
国「紡。なにニヤついてんだよ」
『ニヤついてるとか言わないでよ、普通に話聞いてたらわらっちゃうでしょ?やり取りが思い浮かんじゃって』
国「それをニヤついてると言わずに、どう言えばいいんだよ」
···そこはわかりません。
金「それにしても、なんで城戸は矢巾さんといたんだ?たまたまにしてはおかしくね?」
『ホントに偶然なんだよ。ありきたりだけど、私がよそ見して歩いてたらお店から出てきた矢巾さんとぶつかっちゃって。それで、成り行きというか』
国「成り行き?どんな?」
『ちょっと落ち込むことがあって···あ、まぁ、これはいいや』
金「落ち込むこと?影山とケンカでもしたのか?」
『そうじゃないけど···まぁ、いいじゃん?』
国「ふ~ん?矢巾さんには話せて、オレ達には話せないって?···あっそ」
『そういう事じゃないよ。ただ私は、』
国「いや、いいし。オレと金田一には話せないんだろ?それなら王様と仲良く相談ごっことかしてろ。あとアレな、あの人な···烏野の主将とか?仲いいんだろ?」
烏野の···主将···
むしろ、その人が悩みの大部分なんですけどね。
『分かった、話す。その代わり、笑ったりしないでちゃんと聞いて?』
国「オレはいつも真面目に聞いてんだろ?」
いや、そうでもない時もあるけど。
でもそれを言うとまた拗ねそうだから、内緒にしておこう。
国「んで?ちびっ子小学生のお悩みはアレか?背が伸びますように、とかか?」
『国見ちゃん、怒るよ?』
パフっと脇腹にツッコミを入れると、逆側からプッと吹き出す笑いが聞こえ、金田一君にも脇腹にツッコミを入れた。
『実はさ···今日こんな事があって···』