第32章 不協和音
~ 桜太side ~
家に帰る前にちょっと買い物でもして、気持ちを落ち着かせて行こうかな?
まさか初めての墓参りで、あの人に会ってしまうとは思ってなかったし。
···紡の好きな物を買い込んで、気持ちを切り替えよう。
道路沿いのコインパーキングに車を停めて降りれば、よく知った2人が肩を並べて歩いてる姿が目に入った。
紡からの電話は結構前だったけど、彼らは今帰りなのか?
そう言えば紡は影山君と一緒ではなかったようだし。
ちょっと、声掛けてみようかな?
そう考えると同時に、足は彼らの方へと向いた。
「澤村君、菅原君。いま帰りなの?」
澤「桜太さん?!···こんばんは」
菅「こんばんは。桜太さんも今帰りですか?」
あれ、なんか今···澤村君は俺を見て動揺した?
「まぁそんなトコかな?今日は用事があってね。昼間はちょっとだけ学校にも行ったんだよ。紡が先生に呼び出されてた件でね」
そう言うと2人は顔を合わせながら、あぁ···と苦笑を浮かべた。
「でも大丈夫、和泉は俺の高校の同級生でね。まさか教師になってるとは驚いたけど、ちゃんとやっつけといたから留学云々の話はもう出ないよ」
菅「そうなんですか?!···よかった。って、あの和泉先生と同級生とか、それはそれでビックリですけど」
澤「でも、これでひと安心っていうか···いや、そうとも言いきれないかな···」
この澤村君の感じ、部で何かあったのか?
昼間学校で武田先生とあった時は、別に何も言ってなかったけど···じゃあ、放課後に何か?
「2人とも、もし良かったら少しお茶でもどう?夕飯に響かない態度なら食事でもいいよ?」
「「 えっ?! 」」
「そんなに驚かなくても···実は俺も帰る前に買い物でもしてクールダウンしようかなって思ってたし、どう?」
それなら少しだけ···と2人は頷いて、すぐ側にあるファミレスへと一緒に向かう。
店内は少し混みあっていたけど待たされる事はなく、程よい広さのボックス席へと案内された。
遠慮せずに好きな物をと勧め、自分も軽く食べておこうかとメニューに目を通して注文する。
混みあっている割りにはすぐに注文した物が届き、ドリンクバーで入れて来たアイスコーヒーに口を付けて
会話を促した。
「あのさ、澤村君は何だか元気なさそうだけど何かあった?」