第32章 不協和音

～ 影山side ～

繋｢今日はここまでだ！各自ストレッチ念入りにしろよ！｣

｢｢ ッス！！ ｣｣

まだ、足りねぇ。

日向との新しい連携、もうちょっと回数こなさねぇと日向がどうにもなんねぇ。

日｢影山、このあと少し残れる？オレ、もうちょいお前と合わす練習したい｣

オレが残るとなると、アイツがひとりで帰ることになる···いや、待て。

城戸も残れるなら、その方が···

｢日向、ちょっと待ってろ。城戸がどうするか聞いてくる｣

視界の端に城戸を見つけ、駆け寄るように近付いた。

｢おい、城戸。日向との連携のやつ練習したいから残るけど、お前どうする？一緒に残るか？｣

『練習？私も何か手伝える事があるなら残るよ？』

澤｢紡。ちょっと話したい事があるんだけど、いい？｣

城戸と話してる間に澤村さんが入り込み、城戸の肩に手を置いた。

『あの話しなら、ちゃんとお断りしたはずです』

あの話って、なんの事だ？

澤｢そこを何とかしてあげられないかな？道宮達もせっかくの練習試合だからって言ってたから···最悪、当日だけでも、さ？どう？｣

『当日だけ中に混ざって、ちゃんとしたプレーが出来ないなら私が加わる意味はないと思います』

澤｢だったら練習試合は今週末だから、それまでの間のこっちの事は清水に任せて向こうに加わっても構わないけど｣

なんだ？

練習試合とか···もしかして女子部の事か？

『どうして大地さんは、そんなに私を女子バレー部に行かせようとするんですか！青城との練習試合が終わったし、合宿も···音駒との練習試合も終わったから私はもう用済みなんですか？！』

澤｢そうじゃないよ、俺はただ···｣

『だってそうじゃないですか！嫌だって何度も断ってるのに、それなのに何度も何度も何度も···』

｢城戸、ちょっと落ち着けよ｣

珍しく澤村さんに反抗的になる城戸を宥めようと肩を掴めば、それも振り払われた。

『大地さんなんか嫌い···大っ嫌い！！』

繋｢おい、なんの騒ぎだ？ケンカすんな？？｣

城戸の声にコーチがこっちに歩いて来る。

澤｢いえ、何でもありません···大丈夫です｣

繋｢そうか？ならいいけどよ｣

近寄るコーチを遠ざけ、澤村さんがまた城戸を見た。

『影山···私やっぱり帰る。影山は練習してていいから···じゃあね』