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【 ハイキュー !!】~空のカタチ~

第32章 不協和音


武「なんだか僕、ほとんどお役に立てなかったですね···」

残された静寂の中で、武田先生がぽつりと呟いた。

『そんな事ないです!先生がいてくれたから私、凄く安心してました。桜太にぃが来るまで和泉先生と2人だったら、きっと息が止まってるかと』

武田先生がいてもあんな風に超絶上から目線だったんだから、これが2人だけだったらと考えると···

桜「それは俺も同じ考えですよ、先生」

武「そうでしょうか?ただこの場に居ただけのような気がしますが」

桜「俺が来るまで紡と一緒にいてくれたって事が、何より俺が安心出来た事ですから。和泉は昔から、自分より弱いモノを下に見るクセがあるんですよ。だから、紡がひとりでいたら、きっと上から目線で丸め込まれてしまう所でした」

アハハ···そこは否定出来ない···

武「そう言えばお兄さんは、和泉先生と高校時代の同級生だと先程仰ってましたね」

桜「えぇ、そうです。ほんと、変わってなかったから懐かしい感じさえしましたよ。あの頃の和泉は何かと俺に張り合って来て、試験の度に貼り出させる成績順位でさえ敵意剥き出しでしたから。まぁ、3年間1度たりとも1位は譲ってあげる事はありませんでしたけど」

武「それは凄いですね!机に齧り付いて必死に勉強してた僕とは、やはり遺伝子レベルで作りが違うのでしょうか」

キラキラと目を輝かせながら言う武田先生に、思わず笑ってしまう。

桜「取り敢えずではありますけど、暫く和泉は構って来ないと思います···さっきコテンパンにしときましたから」

コテンパン···と聞いて、さっきの2人の英会話を思い出す。

あ~、うん···確かに、コテンパンだ。

桜太にぃが和泉先生に何を言ったのかは、まぁ···武田先生には秘密にしておこう。

プライドの高い和泉先生の、痛くて苦い過去だから。

桜「じゃ、紡?話は終わったし俺は帰るよ。午後の授業も頑張るんだよ?」

『ありがとう桜太にぃ』

武「御足労お掛けしまして···」

桜「いいんですよ、これくらい。では、あとは宜しくお願いします」

そう言って微笑んで、桜太にぃは部屋を後にした。

武「お昼、ここで食べましょうか?僕と一緒で良かったら、の話ですが」

『あ、そうですね···授業が終わるまでは動けないし、ホッとしたらお腹空いたの思い出しました』




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